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【童話アレンジ】赤ずきんに知らない雄の匂いがついていて禁忌を犯そうとするヤンデレ狼

(狼の家に赤ずきんがやって来る)

いらっしゃい。

ごめんね。
いつも来てもらっちゃって…。

久しぶり。
会いたかったよ。

(赤ずきんを抱きしめる)

(赤ずきんの匂いを嗅ぐ)

……ん?

(赤ずきんの匂いを執拗に嗅ぐ)

…ねぇ。
ここに来る前に誰かと会ってた?

ふぅーん。
そ。
誰にも会ってないんだ…。

……いや…それだとおかしいなぁと思ってね…。
誰にも会ってないはずなのに、(おす)の匂いがついてるのは、どうしてなのかな?

(しどろもどろで弁解する赤ずきん)

猟師に会ったんだ。
なら、最初から言ってよ。
『誰にも会ってない』なんて言わずにさ…。

でも、違うんだよね。
この匂い。

猟師の匂いじゃない。
アイツの匂いは、イヤってほど知ってる。
最近、このあたり(頻繁ひんぱん)にうろついてるから。

人間が襲われる事件がある(たび)に、俺のこと犯人だと思い込んで、見張りにくるんだよ。
でも、俺が犯人なわけないから、毎日イライラして帰ってってる。

『君の家族の匂い』?

俺の嗅覚、舐めないで。
それとも違う。
一度嗅いで、覚えてるもん。

さっきから様子がおかしいよ?
挙動不審すぎて、「嘘()いてます」って言ってるようなもんだし…。
誰かに会ってたなら、正直に『会ってた』って言って。
その程度のことで怒ったりしないよ?

言っとくけど、隠し通せるとか思わないでね。
匂いからだいたいのことは分かるし…。

だから、話してよ。
ね?

……話してくれないんだ…。

じゃぁ、いいよ。
俺が全部分かるって証拠見せてあげる。

「ホストクラブ」ってとこに行ったんでしょ?

君に()び売って、少しでも気に入られようとしてる、すごく下品な(おす)の匂いが、君の全身から匂う。
同じ(おす)として、気持ち悪い。

図星か…。
なんでそんなとこ行ったの?

やっぱり狼の俺よりも、人間の(おす)と一緒になりたくなった?

違うなら、どうして?
ちゃんと理由話してよ。

…ふぅーん。
友達に付き合って、ねぇ…。

()き…。
()きに「噓()き」って言って何が悪いの?

君は分からないだろうけど、嘘()きにも匂いがあるんだよ。
独特のね。

今の君からは知らない(おす)の匂いに混じって、嘘()きの匂いもする。

いいから。いいから。
言い訳とか…。
もう聞きたくない。

あっ!そうだ!
優しい俺が、今後人間に付き合わなくて済むようにしてあげるよ。

『どうするか』?
そんなの、ひとつしかなくない?

俺と君の子供を作る。
そうすれば、家に帰れなくなるし、友達に付き合うこともなくなるでしょ?

ずっと思ってたんだよね。
なんで異種族間で子供を作ることが(禁忌きんき)なのか、って。
愛し合ってるんだから他が口出ししないでほしいよね。
それに、異種族間で子供はできないって言われてるけど、ほんとにシたことあるヤツはいないって話だし、せっかくだから、俺たちが実験台になればいいと思わない?

ダーメ。
ヤるの。
悪いのは知らない(おす)の匂いを付けてきて、俺に嘘()いて隠し事しようとした君なんだもん。

別に逃げたければ逃げてもいいよ。
君がどこに逃げても匂いを辿って追いかけるし、俺が本気で走れば君がどんなに遠くにいてもすぐに追いつくし…。

そんなに(おび)えないで。
いつかは一緒になる予定だったんだもん。
それがちょっと早まっただけだよ。

大丈夫。
絶対に幸せにする。
君も、君との子供も。

いきなりの同棲生活になっちゃったけど、これから一緒に楽しく過ごそ。

大好きだよ。
(いと)しい俺の赤ずきん。