(ベッドの上にて)
そろそろ寝ない?
日付変わるよ?
まだ起きてるの?
なんで?
『眠くなんないから』?
それって、ずっとスマホいじってるからじゃなくて?
寝る前にブルーライトを浴びるとよくないとか何とかって、言ってたじゃん。
最近あんまり聞かないけど…。
あっそ。
俺のことをほったらかしにして、勝手に一人で寝ろってことね。
君の言いたいことは、よーく分かった。
悲しいなぁ…。
あったかくて優しいと思ったのは俺の勘違いで、ほんとは冷たい人だったなんて…。
違うなら、スマホは置いて、おしゃべりしようよ。
眠くなるまで。
(それでもスマホを離そうとしない彼女)
…もう…!
スマホは没収!
ダーメ。
これ以上、スマホいじるの禁止。
いじれないように、俺が預かっとく。
明日の朝、起きたら返してあげる。
それまでは、こっち。
拗ねないでよ。
…寝るまでギューするから、許して…?
(彼女を抱きしめる)
なんか、こういうの久しぶりだね。
忙しくてすれ違いの生活してたから、最近一緒に寝ること自体なかったし…。
久しぶりすぎて、ちょっとドキドキしてる。
同棲始めたばっかの頃みたい。
ね?
君もそう思わない?
『暑い』とか言わないでよ…。
たしかにちょっと暑いかもしれないけど…。
スマホ取り上げたこと、まだ怒ってんの?
……分かった。
離れればいいんでしょ?
離れれば。
(彼女から体を離す)
はい。
スマホ、返す。
好きなだけ見てなよ。
俺は先に寝るね。
じゃ、おやすみ。
(彼女に背を向ける → 少し間を開ける → 彼女が寝るのを邪魔してくる)
……何?
俺、もう寝るとこなんだけど邪魔しないでくれない?
眠くなるまでスマホ見てればいいじゃん。
俺が取り上げたら拗ねるくらい、見たい何かを見てたんでしょ?
……何に対して謝ってんの?
君に謝ってもらわなきゃいけないようなことないよ?
別に俺は怒ってないよ。
怒る理由もないのに…。
(彼女が布団に潜り込んでくる)
人の布団にモゾモゾ入り込んでこないで、一人で寝て。
一緒に寝たいの?
それはもうしてるじゃん。
隣で寝てるんだし、寝たければ寝れば?
くっついて一緒に寝たいの!?
さっきは『暑いから離れて』って言ったのに?
言ってることが真逆だよ?
ふぅーん。
今は違うんだ。
まぁ、いいけど。
じゃぁ、スマホ貸して?
俺が預かっとく。
せっかく眠くなっても、近くにスマホがあったら気になって触っちゃうかもしれないでしょ?
ん。
いい子だね。
もっとこっちにおいで。
(彼女を抱きしめる)
(深呼吸を一度する)
君の匂い、好き…。
ほんと癒される…。
トゲトゲした気持ちとか腹の中に抱えてる真っ黒な感情とかが全部浄化されてく。
ほんと!ほんと!
さっきまでは「明日、仕事したくないな…。行きたくないな…。ズル休みしちゃおっかな…」って思ってたけど、今は「明日も一日がんばろう!」って思えてる。
これって、すごいことだよ?
人のモチベを上げられるのって、才能だと思うもん。
いいの。
誰が何と言おうと、俺がそう思ったら、そうなの!
(満足そうに)んふふ。
(彼女の匂いをもう一度深く吸う)
そういえば、最近どうだった?
仕事のこととか、日常生活とか……すれ違ってる間の俺の知らない君は何してたの?
教えて?
(適度に相槌をうつ)
へぇー。
そうなんだ。
仕事の時は無理だけど、家では俺も同じ時間を一緒に過ごしたかったなぁ…。
俺の方はね、特に何もない。
ただただ毎日同じことの繰り返しで、大忙しなだけ。
変わったことと言っても、トラブル対応とか発生してほしくないようなイベントが発生したりするくらいで…。
ん?
週末のデート、予定変更しちゃうの?
俺は構わないけど…。
『お家デート』?
……それって、俺に気遣ってるでしょ?
分かりやすすぎ。
…でも、ありがと。
(触れるだけのキス)
大丈夫だよ。
行こ。デート。
俺も楽しみにしてたし。
いっぱいはしゃいだり、おいしい物を頬張ってたり…。
デートでしか見れない、レアな君を見たい。
…俺のワガママになっちゃうけど、元々予定してたデートに付き合ってくれる?
へへ。
気付いた?
君が『うん』って言うしかないような、すっごくズルい言い方したって…。
それくらい、君とデートに行きたいってこと。
分かってくれた?
で、返事は?
ん。
行こ。
(あくび)ふぁ…。
(彼女もあくびをする)
ふふ。
俺のあくびが移っちゃったね。
君との話が楽しすぎてまだ寝たくない気分でいっぱい…。
でも、ちゃんと寝て、週末のデートのために体調万全にしとかないといけないし……名残惜しいけど寝よっか。
じゃぁ、今度こそ……ほんとに、おやすみ。
夢の中でも、会えますように。
(触れるだけのキス)