(部屋の扉をノックして入ってくる)
…起きてるか?
調子はどうだ?
そうか…。
大丈夫ならいいが…嘘じゃねーだろうな?
(彼女に触れる)
触った感じ、熱はなさそうだな…。
…お前、下僕の
そんなことあったから言ってんだっつーの!
熱出した次の日、全然熱下がってねーのに、『もう平気です』なんて言ったのは、どこのどいつだよ?
無理しようとするからなかなか熱も下がらなくて、結局あれから3日もかかって、やっと落ち着いたくせに…。
たしかに1日で治せとは言ったが、んなもん冗談に決まってんだろ。
本気で1日で治るなんて思ってねーよ。
……前から思ってたけど、お前…がんばりすぎ…。
よくもまぁ今まで毎日休まずにいて、元気だったよな。
いくら人間の体は
『はいはい』ってお前なぁ…。
俺様の言葉を適当に聞いてんじゃねーよ。
…心配してる俺様がバカみてーじゃん…。
あ゛ぁ゛?
飯?
何?お前、腹減ってんの?
じゃぁ、作ってきてやんよ。
何が
『そうじゃない』って…?
あぁ……俺様の…。
別にいい。
まだいらね。
お前、
そんな状態で血なんか吸えねーよ。
…なんでそんなに吸ってほしいわけ?
なんか理由あんのかよ?
黙るってことはなんかあんな?
話せ。
今すぐ。
『ヤダ』じゃねーよ。
ちゃんと理由言わねーと今後一切吸ってやんねー。
おら。
さっさと言え。
(彼女がポツリポツリと話し出す)
……バーカ。
お前をここに置いてるのは血を吸うためだけじゃねーよ。
じゃなきゃ、お前みたいなクソ生意気な小娘、とっとと追い出してるわ。
お前は文句言いつつも俺様の言うこと聞くし、何も言わなくても空気読んで理解してくれるし…。
今まで出会った人間の中で1番気に入ってんだよ。
だから、今はくだらねーこと考えずに、自分の体を治すことだけを考えろ。
(舌打ち)チッ…。
さっきから聞いてりゃ、ガタガタうるせーな。
だったら、お前の体に聞いてやる。
血を吸ってやるっつってんの!
いつもの味じゃなきゃ、今日も休め。
これは命令。
いいな?
おら。
首、出せ。
今度は何だよ!?
さっきから『吸え』っつったり、『ヤダ』っつったり…。
風呂ぉ…?
別に3日入ってなくても気にしねーよ。
舐めときゃ綺麗になんだろ。
……もう黙れ…。
(彼女の首筋から血を吸う)
……ん。
ほぼ完治に違いねー…けど、あと1歩ってとこだな。
旨味が足りねー。
ってことで、今日も1日休め。
いいもん腹いっぱい食って寝れば、明日にはいつものお前に戻れる。
ほんとだって。
嘘じゃねーよ。
そもそも、こんなことで嘘
…熱出して、とうとう本物のバカになっちまったのか?
あのなぁ……その辺の医者よりは俺の診断の方が的確に決まってんだろ。
お前の体に直接聞いてんだから。
で、何が
何でも用意してやる。
お前が元気になるためならな。