狛犬 渚-Komainu Nagisa
voice:狛犬 渚-Komainu Nagisa
あかいあかさ【シチュエーションボイス】
voice:あかいあかさ【シチュエーションボイス】

女の子の日を気遣ってくれる優しい彼氏の裏の顔

(部屋のドアをノックする)

…入るよ?

(彼女の部屋に入る)

おはよ。

あっ……起きなくていいよ。
言わなくても分かってる。

来たんだよね?
女の子の日。

いつも起きてくる時間に起きてこないんだもん。
考えられるとしたら女の子の日くらいかなって…。

まぁ、俺が気付いたというより、前に君が教えてくれた女の子の日を管理するアプリ、あれが教えてくれたんだけどね。
『そろそろです』って。

付き合ってても、こういうのって言いにくいじゃん?
デリケートな部分だから…。
体つらいのに言い出せなくて無理してるのとか見たくないし、だからって、俺から「女の子の日、来た?」なんて軽く聞いていいようなもんでもないし…。
アプリひとつでお互い限りなくストレスフリーでいられるなんて、ほんと便利な世の中だよね。

って、そんなことより…必要そうなものいろいろ持ってきたよ。

まずは、痛み止め…かな?

お腹痛い?

…今日は腰も痛いんだ…。
お粥も持ってきたから、ひと口だけでも食べて。
それから、痛み止め飲もうね。

ダーメ。
痛み止めだけだと胃が荒れて、余計につらくなっちゃうよ?
ひと口だけでいいから、お粥食べよ?
ね?

ふふ。
いい子。

ふぅーふぅー。

はい。
あーん。

たまにはいいじゃん。
今日は姫扱いされてよ。

女の子の日はいろいろつらいって聞くし、どれだけつらいのか理解してあげたくても男の俺じゃ理解してあげられないもん。
こういう時くらい、いっぱい甘えてくれていいんだよ。
少しでも君の役に立ちたいから、俺にできることは何でもさせて。

ん。
じゃぁ、お口開けて。

あーん。

おいしい?

ふふ。
よかった。
ひと口だけでも、がんばって食べてえらいね。

次は痛み止め。
あと、お水。

ごっくん、できた?

最後に、貼るカイロね。
お腹に貼る?
それとも、腰?

分かった。
そのまま動かないでね。
俺が貼ってあげる。

これで、よし。
熱くなるまでちょっと時間かかるけど、それまでの我慢だよ。

あとは……何か欲しい物ある?
なんでも言って。

ないの?
…ほんとに?

あとで『あれ欲しいな…』『これ欲しいな…』って思ったら、連絡して。
すぐに持ってくるから。

枕元にスマホ置いとくね。

じゃぁ、おやすみ。
また様子見に来るね。

(彼女の部屋から出る)

(※以下、最後まで独り言で)
(舌打ち)チッ…。

あーぁ……今月もダメだったか…。

1発でデキちゃったって言ってるヤツ、どんな仕込みしたんだって感じだわ。
ネットで書いてる仕込み全部やったのに、全部(空振からぶ)りとかあり得なさすぎ。
俺の仕込みが悪いのか、ネットの情報が嘘なのか…。
どっちにしても、デキなかった事実は変わんないんだけど…。

ゴムに穴開けてるだけじゃダメなのかな…?
もしかして、穴の数が問題だったりする?
1つだけじゃなくて、3つ4つ開けなきゃダメとか…?
それだと穴開けてるのバレるかもしれないしなぁ…。
かと言って、睡眠薬()って寝てる間に(なま)でしちゃうのも、計算が合わなくてバレるかもだし…。

(溜息)はぁ…。
既成事実作るのって難しいなぁ…。