※序盤に自分の名前を言う箇所があります。
(以下、本文)
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(街中にて)
ねぇ、お姉さん。
もし時間あるなら、俺とお茶しない?
なーんて。
こんにちは、先輩。
休みの日に会うなんて、偶然っすね。
誰かと待ち合わせっすか?
ふぅーん。
俺もっす。
(後輩、スマホで何か打っている)
(先輩のスマホの通知音が鳴る)
…見ないんすか?
スマホ。
待ち合わせの相手からかもだし、俺のことは気にせず、見た方がいいんじゃないっすか?
(先輩、スマホを見る)
…今の、待ち合わせの相手でした?
それって……【自分の名前】って人?
(いたずらが成功した子供みたいに)知ってるもなにも……それ、俺っすもん。
嘘じゃないっすよ。
(後輩、スマホを操作する)
ほら。
プロフ画面。
これが証拠。
信じてくれました?
ん?
『どうやって先輩を見つけたか』っすか?
そんなの簡単っすよ。
前に先輩のスマホを盗み見た時の画面から先輩が登録してるマッチングアプリを探して、先輩を検索した…って感じっす。
先輩のことだから、どうせ名前はそのままだろうなって検討つけてたら、ほんとにそのままだったし…。
さすがに名前くらいは変えましょうよ。
危ないって注意しましたよね?俺。
『下の名前だけ』って言っても、一応個人情報なんすから、そこら辺は気をつけましょうよ。
ヤバいヤツは名前からSNSを特定したり、住所や勤務先、交友関係、電話番号やメールアドレスまで特定しちゃうらしいっすよ。
嘘かほんとかは知らないっすけど…。
あくまで聞いた話っすから。
いや、いや!
ビビらせるためだけにこんな作り話はしないっすよ。
俺は先輩のためを思って…。
(先輩、帰ろうとする)
ちょっ!?
待って!待って!
なんで帰ろうとしてるんすか?
はぁ…。
騙すつもりも、からかうつもりもないっす。
ただ純粋に休みの日に先輩とデートがしたかっただけ。
それだけっすよ。
ほんとの、ほんと。
そのためだけにアプリ入れて先輩にコンタクト取ったんす。
「あーそーぼっ!」って連絡しても、真面目に取り合ってくれないっしょ?
だから、こうするしかなかったんすよ…。
(先輩、「大変だったんじゃないの?」と聞いてくる)
この程度、全然大変じゃないっすよ。
むしろ楽しかったっす。
先輩のこと追っかけてるみたいで。
前に言ったでしょ?
「大好きな先輩」って。
あれ、マジっすよ。
…まさか、本気にしてくれてなかったとか…?
えぇー……ひどいっすよ……。
(先輩、「私以外にも先輩いるでしょ?」と言う)
たしかに、先輩以外にもお世話になってる先輩はたくさんいます。
いますけど!
…先輩が、その他大勢の中の一人なわけないじゃないっすか。
先輩後輩としてじゃない、別の意味の本気の好きなのに…。
俺の気持ち、欠片も届いてなかったなんて…。
うわぁー……『はい、はい』って全然信じてくれてない…。
ショックすぎてもうダメだ…。
(後輩、いじける)
明日の仕事、休も…。
(先輩、慌てて謝ってくる)
…ほんとに悪いと思ってます?
だったら、俺と今日一日デートしてください。
そしたら、全部許してあげます。
デートしてくれなかったら……明日会社で「先輩にいじめられた」って言いふらします。
約束ドタキャンされたって。
イヤなら、デート……しましょ?
脅迫なんかじゃないっすよ。
れっきとした交渉っす。
……で、どうします?
デートしてくれます?
それとも、このまま解散します?
ふふ。
選択肢があるように見せかけて、ひとつしか答えがないように仕向けました。
先輩なら絶対にそうするって分かってたから。
じゃぁ、グダグダ話してる時間がもったいないんで、さっそくデートに行きましょうか。
先輩が前々から行きたいって言ってたとこ、全部行きましょ。
(先輩、行けるわけないとこぼす)
行けなくないっすよ。
そのためにここで待ち合わせしたんすもん。
ちゃんとリサーチしてきたんで、大丈夫っす。
(耳元で)先輩は今日1日楽しむことに専念してくださいね。