二日酔いのツンツン彼氏にはさりげない優しさを

おはよ…。

気持ち(わり)ぃ…。
(いて)ぇ…。

朝ご飯?
いらねぇ…。

見て分かるだろ?
二日酔い。

ヤバイくらい気持ち悪くて食べたくねぇ…。

(ソファーに倒れ込む)

(溜息)はぁ…。
今日が休みでよかった…。
こんなので仕事とか絶対無理…。

そういえばさ、俺、昨日何時に帰ってきた?
店で飲んでた記憶はあるんだけど、途中から全然記憶なくてさ…。

マジで!?
もしかして、着替えさせてくれたのも、お前だったりする…?

そっか…。
ごめんな…。
夜遅くに帰ってきて、面倒までかけて…。

ビールやら、日本酒やら…。
とにかくたくさん飲まされたから、ベロベロに酔ってただろ?
なんか変なこと言ってたりしてねぇよな?

ほんとに?
ほんとの、ほんとに言ってねぇんだな?
…なら、いいんだ。

(彼女が朝ご飯を用意する)

ん?
朝ご飯いらねぇって、さっき言ったじゃん。

ヨーグルト?

(おなかが鳴る)

いやっ、これは、その…。
気持ち(わり)ぃけど、腹が減ってることに変わりねぇし…。

(手を合わせて)……いただきます。

いつも思ってたんだけど、フルーツ多すぎねぇ?
別にフルーツ嫌いじゃねぇからいいけどさ…。
ヨーグルトとフルーツのバランスが今ひとつアンバランスというか、なんというか…。

ごめんっ!
ごめんなさいっ!
もう文句言わねぇからっ!
ありがたく、いただきますっ!

…うま。
今日のヨーグルトって、ちょっといいやつだったりする?

いつもの?
そのわりに、やたらうまく感じるんだけど…。

へぇー。
ヨーグルトって二日酔いにいいんだ。
フルーツも!?

ふぅーん。
…知らなかった。
だから、二日酔いの朝はいつもフルーツたっぷりのヨーグルトだったんだな。
『何でいつもヨーグルトなんだろう?』って思ってたから。

二日酔いの朝の定番って、普通はしじみの味噌汁じゃん。
でも、俺、しじみがそこまで好きじゃないからいつも我慢してたんだ。

…何、ニヤニヤしてんだよ。
気持ち悪ぃな。

えっ……気付いてたのかよ…。
しじみ好きじゃないって…。

なんでもお見通しなんだな。
なんかムカツク…。

だって、そうじゃん。
お前は俺のこと何でも知ってるけど、俺はお前のこと何でもは知らない。
全部(見透みす)かされてるみたいでズルい…。

『はい、はい』って……めちゃくちゃ生意気…。

どうせ、好き嫌いが多い大きな子供ですよー。

(残りのヨーグルトを食べる)

ごちそうさまっ!
うまかった。

……いつも、ありがとな。
調子悪い時、言わなくても気付いてくれて。

『昨日聞いた』って…!?
やっぱりなんか言ってたんじゃねぇか!
ほかにも言ってたんだろ。
全部言え!全部!

(彼女が全部言ってくる → 彼氏、どんどん恥ずかしくなる)

…もういい。
それ以上、何も言うな…。
マジで恥ずかしい…。

『好きって言ってほしい』?
言えるわけねぇだろーが。
そんな恥ずかしいこと…。

昨日言えたのは酔ってたから。
今はシラフだから無理。
絶対無理。

ヤダ。
言わねぇ。

あ゛ぁ゛ー、もうっ!
うるさいっ!

好きだよ。
大好きだっ!
じゃねぇと、こんなダサい姿見せるわけねぇだろうが!

うぅ…声が頭に響く…。
大声出させるなよ…。

はぁ!?
俺が悪いって言いたいのか?
お前が興奮させなきゃよかっただけの話だろ。

とにかくっ!
もう2度と言ってやらねぇからな。
今のが最初で最後だから。

『もっとデレてもいいのに…』って何だよ?

おいっ!
ちょっと待てっ!

『洗濯しなきゃ』じゃねぇだろっ!

昨日、何があったんだよ!?
やっぱり全部話せっ!

おいっ!こらっ!待てっ! ※ フェードアウトしてください。