発熱した子供をきっかけに家族サービスを始めるパパ

おはよ…。
(あくび)ふぁ~。

あれ、あいつ、まだ起きてないの?
じゃぁ、俺起こしてくる。

【ドアをノックして開ける音】

もう朝だぞ。
起きろぉ~。

ん?どうした?
頭痛いのか?
…熱あるな。
今日はお家でゆっくり寝てなきゃいけないな。
こんなに熱があるのに動物園行けないから。
こらっ!
わがまま言うな!

(ママが来る)
うるさくてごめん。
こいつ熱があるのに動物園行くってきかなくて…。

ご飯?
分かった、お粥作ってくる。

(一人キッチンに移動)
(独り言)
ご飯はある、卵もある…。
卵粥でいいかな。

(ママがリビングに来る)
ぁっ、もうすぐお粥できるよ。
あいつ、どうだった?
落ち込んでなかった?

3人で動物園に行くの、そんなに楽しみにしててくれたんだ…。
そりゃ落ち込むよな…。
触った時かなり熱かったから相当辛つらいはずなのに、無理してでも行きたいってことだろ…。
それなのに俺、怒鳴って…。
(溜息)はぁ…。

最近お前と同じ日に休みが取れなくてどこにも連れて行ってやれなかったもんな。
前に3人で出かけたのっていつだっけ?

もう俺、思い出せない。
それくらいどこにも連れて行ってやってない。

なぁ、俺、ちゃんと父親できてる?
仕事ばっかりで、家庭、おろそかにしてない?
不安なんだよ…。

…あのさ、お粥持って行くついでに、ちょっとの間だけあいつと話させてもらってもいいかな?
さっきの謝ったあとで少し話してくる。

【ドアをノックして開ける音】

ママに着替えさせてもらったんだな。
さっき、結構汗かいてたから、少しは気持ちよくなっただろう。

パパ特製のお粥作ってきたから、これ食べて、お薬飲んで、今日はお家でゆっくり寝ような。
パパとママと一緒にお出かけするの、久々だったから楽しみにしてたんだってな。
ママから聞いた。
…ごめんな。
さっきは怒ったりして。
そんなに楽しみにしててくれてるなんて思ってなかったから。

動物園?
またすぐ行けるよ。
近いうちに、ママとお休みを合わせて、3人で動物園行こうな。
だから、今は風邪治すこと。
風邪引いたままじゃ、いつまで経っても動物園は行けないからな。
よし、いい子だ。
じゃぁ、お粥食べような。
熱いから舌、火傷しないようにな。
パパがフーフーしてやる。

フーフー

ほら、あーん。
美味しいか?
よかった。
まだあるから食べられるだけ食べていいぞ。

全部食べて、お腹、大丈夫か?
大丈夫なら、次は薬飲もうな。
苦いし、おいしくないけど、これ飲まないと風邪治らないからがんばって飲もうな。
おっ、ちゃんと飲めて偉いなぁ。
いい子♪いい子♪

それじゃ、そろそろ寝ようか。
今日は特別にパパが絵本読んであげる。

(間を開ける)

お粥食べさせてきた。
全部食べてくれたよ。
薬もちゃんと飲ませた。
今はぐっすり寝てる。

(少しほっとして)
ちゃんと謝ってきたよ。
『ママと休み合わせるから、その時に動物園行こう』って約束してきたし。
だから今日は大人しく家でゆっくり休んで風邪を治そうって。

あいつ、聞き分けのいい子供だよな。
きっとお前に似たんだよ。
俺が子供の時なんて、生意気な口しかきかない子供だったからな。
『ああ言えば、こう言う』みたいな。

でも、本当に最近全然休み取れてなかったから、近々まとまった休み取るよ。
少しは家族サービスもしないといけないだろ?
お前にも寂しい思いさせてたはずだしさ。

そんなことないって…。
お前なぁ…。
素直になれよ。
付き合ってた時から、お前は素直に自分の気持ちを吐き出さないよな。
バレないように隠そうとするくせに、隠すの下手くそ。
全部バレバレだから。

ほら、言って?
『寂しかった』って。

よくできました。
ご褒美のギュー。

俺達夫婦じゃん?
我慢しないでいいんだって。
言いたいことあったら言って。
俺も言いたいことあったら言うからさ。
ね?お願い。

今日は珍しく素直になったじゃん。
いつもなら『ヤダ』とか言うのに。
どうしたの?

(リップ音)チュ

お前からのキスとか初めて。
……その気になるけど、いい?
実はさ、『そろそろ2人目でも…』とか思ってて…。
作っちゃおう?2人目。

その『ヤダ』は聞けません。
お前のその顔見てれば『ヤダ』って思ってないのバレバレだから。
それに、俺ももうその気になったから、後戻りできないよ。
あいつは寝てるから、ちょっとやそっとの物音じゃ起きないの知ってるだろ?
まだ朝だけど、せっかくの大人だけの時間、楽しもうよ。

(耳元で)
いいだろ?

(耳にキス)チュ