(Aが女子社員と話してる)
A :ありがとうございます。
それじゃ。
(AがBの方に近づいて来る)
B :なぁ。
さっきまで何話してたんだ?
A :…びっくりしたぁ…。
いきなり話
ただの仕事の話だけど?
B :仕事の話だけで、あんなに楽しそうに話すのかよ。
A :ほんとに仕事の話だって。
最後の方は世間話だったけど…。
B :ほら、仕事の話だけじゃねぇじゃん。
A :
何、イラついてるの?
B :別にイラついてねぇし…。
A :嘘…。
すっごい怖い顔してるよ?
B :そんなの、気のせいだって!
A :…こっち来て。
(人気のない場所に移動する)
A :ここなら、大丈夫かな。
B :『大丈夫かな』じゃねぇよ。
俺もお前も、まだ仕事残ってるだろ?
早く戻らねぇと…。
A :僕が女子社員と話してるの見て、嫉妬したんでしょ?
B :はぁ!?
俺が嫉妬!?
あり得ねぇ…。
A :あり得ない、ねぇ…。
じゃぁ、これ見ても何も思わない?
B :そのラッピング……あの女子の手作り?
A :正解。
分量間違えて、作りすぎたんだって。
僕が甘い物好きって聞いて、お
B :へ、へぇ…。
よかったな…。
A :動揺してる?
B :そんなことねぇよ…。
A :そんなことあるよ。
さっきから目泳ぎっぱなし。
B :うるせぇ…。
A :女の子が
何もないって言ってるのに…。
B :…だって、お前、元々ノンケじゃん。
さっきみたいに女子と話してると、不安になるんだ…。
女子にお前を取られるんじゃねぇか、とか…。
俺より女子と付き合った方が幸せなんじゃねぇか、とか…。
考えたくないことばっか考えて……つらい…。
A :確かに僕は元々ノンケだったよ。
だけど、それは過去の話。
今は違う。
B :違わねぇ。
じゃなきゃ、あんなに楽しそうに笑ったりしねぇじゃん。
A :それは勘違いだよ。
君と一緒にいる時だって、あれくらい笑ってるよ?
B :俺の記憶には、ねぇよ…。
A :今日は、いつになく、つっかかってくるね。
そんなに、このクッキーが嫌?
B :嫌に決まってんだろ!
A :そっか…。
(クッキーをゴミ箱に入れる)
B :いいのかよ…。
A :うん。
知らない人の手作りとか気持ち悪いじゃん?
それに、これ持ってたら、ずっと君が嫉妬したままでしょ?
B :そんなこと…。
A :そんなことあるよ。
君はドライに見えて、実はかなり独占欲強いからね。
B :そんなことねぇよ…。
A :そうかな?
仕事の話をしてるだけで、女子社員に嫉妬するのに?
B :それは…。
A :女子社員から手作りクッキー貰っただけで動揺しちゃうのに?
B :あ゛ぁ゛~!
そうだよ。独占欲強いよ。
お前を誰にも取られたくないんだよ。
(AがBを抱きしめる)
A :大丈夫。
大丈夫だよ。
僕はずっと君の隣にいるよ。
B :嘘だ…。
いつか俺の
A :離れないよ。
ずっと君の隣にいる。
B :絶対?
A :絶対。
僕が嘘
B :……ない。
A :でしょ?
B :でも、人の気持ちなんて、いつ変わるか分かんねぇじゃん。
今は俺の隣にいてくれるかもしんねぇけど、明日になったら離れるかもしんねぇ
じゃん。
A :僕の言葉が信じられない?
B :今は無理…。
A :(溜息)はぁ…。
どうしたら信じてくれるの?
B :…キス…。
A :えっ…?
B :だから、キスしろって言ってんの!
今っ!
ここでっ!
A :ここ、会社だよ?
分かってる?
B :分かってる。
俺に信じてもらいたいなら、キスくらい簡単だろ。
A :誰か来るかもしれないよ?
B :『ここなら大丈夫』ってさっきお前が自分で言った。
A :さっきから、やけに
今日の君は、かわいくない。
B :かわいくなくて、すみませんでした。
…もう、いい。
A :ちょっと待って。
B :ヤ……ん…。
(濃厚なリップ音)
A :これで少しは僕のこと信じてくれた?
B :ずりぃ…。
こんなのされたら信じるしかねぇじゃん。
A :僕には君だけだよ。
君以外は目に入らない。
こんなに好きになったのは君が初めてだから。
B :マジで?
A :うん。マジで。
もっとチューしてあげようか?
B :いいっ!
これ以上されたら、我慢できなくなるから。
A :じゃぁ、続きは夜までお預けね。
早く仕事終わらせて、一緒に帰ろ?
今日はお泊まりできるから。
B :ちょっ……そういうことはもっと早く言えよ…。
さっさと仕事戻るぞ。
A :がんばって定時までに上がれたら、ご褒美もあげる。
B :嫌な予感しかしないけど、期待しとく。
A :こっち向いて?
B :ん?
何…?
(軽く触れるだけのリップ音)
A :これから仕事がんばる
B :いきなりキスとか驚くだろ…。
でも……ありがと…。
A :どういたしまして。
さっ!
大好きな恋人の嫉妬も晴れたことだし、仕事に戻りますか!
B :なんか、結局お前の
…今回だけは、許してやるよ。