(玄関扉のノック音)
(猫耳をつけた赤ずきん登場)
はぁーい。
(ドアを開けながら)遅かったね、赤ずき…ん?
君、いつから耳が生えたの?
…ケモ耳カチューシャ?
ほんとに?
(赤ずきん、ケモ耳をはずして見せる)
おぉ…ほんとだ…。
カチューシャになってる。
ふぅーん。
結構本物っぽく作られてるんだね。
普通に騙された。
立ち話もなんだし、中に入んなよ。
(赤ずきん、家に入る)
(玄関のドア閉まる)
飲み物はいつものでいい?
了解。
適当に座ってて。
(二人の間には距離あり。狼→キッチン、赤ずきん→リビング)
それにしても、なんであんなの付けてたの?
何かのイベント?
『猫の日祭り』?
何それ?
聞いたことないんだけど…。
へぇー。
語呂合わせで2月22日が猫の日だから、猫を大切にしようってお祭りなんだ。
そういうの、いいね。
動物を大切にしてくれるって思いをイヤだと思うヤツはいないよ。
(狼、赤ずきんの元にやってくる)
はい、お待たせ。
(テーブルの上にカップを置く)
でも、付けるなら猫耳よりも犬耳がよかったなぁ。
そしたら、お揃いになるじゃん?
…知らない?
狼と犬は同じ祖先だって。
野生のままでいたのが狼、人間に家畜として飼われて進化したのが犬。
それだけの違い。
だから、今度は犬耳付けてね?
絶対だよ?
約束だからね?
ってか、猫の日があるなら犬の日もあるの?
いつ?
…11月1日…?
去年の犬の日には何もなかったよね?
なのに、猫の日だけこんなの付けて…。
ズルいっ!ズルいっ!ズルいっ!
どうせ猫は『かわいいー!』って理由だけで優遇されてるんでしょ?
犬だって、忠誠を誓った相手にはちゃんと従うし、縄張り意識が強いから不審者から大切な人を守ることもできる。
俺たち狼にいたっては、愛した人は一生添い遂げるくらい一途に思ってる。
……これだけじゃ、何かしてもらう理由になんない?
…理由になってる?
ほんとに?
…なら、キスして?
(触れるだけのキス)
赤ずきん、だぁーい好きっ!!
(濃厚なキス)
ねぇ。
今年の犬の日に犬耳のカチューシャ用意するからさ、付けてくれない?
……なんで君には俺の考えがすぐバレちゃうんだろ…?
バレない自信あったのに…。
(開き直って)そ。
君の言う通り、エッチぃこと。
「何をしたいのか」まで言うの!?
…言ってもいいけど、怒んないでね?
あのね……犬耳付けた君とエッチぃこといっぱいしたい。
……具体的に言うと、バックでシたい。
いつもは正常位じゃん?
『顔見ながらできる』って理由で君の好きな体位だし、俺も君が気持ちよさそうにしてる顔を見ながらするのは好きだから。
ただ犬の日に犬耳付けた時だけは、交尾っぽくバックでシたい。
狼のエッチを君に知ってほしい。
非日常で、きっと興奮するよ。
……そうだね。
たぶん、俺が興奮しすぎて、暴走するだけだね…。
手加減…?
ん゛ー……努力する…。
自信ないけど…。
だって、気持ちいいと理性溶けちゃうからさ…。
動物的本能というか、子孫を残したい気持ちが勝っちゃって、ついヤリすぎちゃう…。
……赤ずきんは、気持ちいいのイヤ?
イヤなら、はっきり言って?
君の全部を理解できてるわけじゃないから、知らないうちにイヤだと思ってることもしてるかもだし…。
できることなら、君のイヤなことはしたくない…。
ん?
何?
小さい声で言っても聞こえない。
もうちょっと大きい声で言って?
ふふ。
うん。
どんなに小さい声でも全部聞こえてる。
今のは、意地悪。
あえて恥ずかしいこと言わせて真っ赤になってる君を見たかっただけ。
人間も獣人も好きな子をいじめたいのは同じだよ。
(触れるだけのキス)
今年の犬の日、いつもと違うエッチをして、いっぱいドキドキして、いっぱい気持ちよくなろうね。