(玄関扉の開閉音)
ただいまー。
…やっと家に着いたぁ…。
(彼女を抱きしめる)
(ワガママっぽく)ん゛ん゛……疲れたぁ…。
ちょっとこのままでいさせて。
(彼女の匂いを嗅ぐ)
はぁ……癒やされる…。
知らない?
疲れた時こそ猫吸いならぬ彼女吸いが効くって。
猫吸いって、心が落ち着いて、リラックスできるって言うじゃん?
同じ効果が好きな人の匂いを嗅ぐと得られるらしいよ。
(ダダをこねるように)んー、ヤダ。ヤダ。
お願い。
嗅がせて?
今日、ライブいっぱいがんばったからさ…。
そのご褒美ってことで、ね?
いいでしょ?
ふふ。
ありがと。
(彼女の匂いを再度嗅ぐ)
(癒やされてる感じの溜息)はぁ…。
ん?
うん。
詳しくは話せないんだけど、今回のライブはちょっといろいろあってさ…。
会場入りしてから何かとバタバタしてて、落ち着いたと思ったら開演1時間前…。
急いで準備して、即本番でしょ?
朝からずっと緊張したまま全力疾走してる状態だから、肉体的にも精神的にも疲れちゃった…。
(しみじみと)…けど、やっぱライブは最高だったなぁ…。
何回経験しても、この気持ちだけは変わんない。
同じライブは2度とできないってのもあるけど、会場にいるファンの子たち一人ひとりの嬉しそうな顔とか楽しんでくれてる顔が生で見れるから…。
ちゃんと、一人ひとり全員見えてるよ。
まぁ、普通に考えれば、照明が当たってないとこは見えないと思うよね。
でもね、ステージの上から見るとそうでもないんだよ。
照明も届かないような、ステージから遠い席でも意外と見えるんだよ。
だって、皆の目がキラキラ輝いてるから。
ほんとに、お星様みたいにキラッキラしてる。
ペンライトの光と一緒になって、フロア一面が光り輝く星が散りばめられたみたいで、語彙力なくなるくらい綺麗なんだ。
あの光景見ちゃうと、今よりももっと楽しませたいって、ついつい張り切りすぎちゃうんだよね。
すぐ調子乗っちゃう、俺の悪い癖。
えっ!?
ライブ見に来てくれてたの!?
どこで見てたの?
まさか、フロア?
ふぅーん。
せっかく来てくれたなら、楽屋にも来てくれたらよかったのに…。
そしたら、もっともっと張り切って、かっこいい姿見せられたのになぁ…。
次来るときは、前もって俺に教えてね?
あと、楽屋にも来て。
大丈夫。
関係者のパス持ってれば、楽屋にも来れるよ。
不安なら、スタッフの人にもあらかじめ声掛けておくし。
なんなら、俺が迎えに行こうか?
「姫、迎えにまいりました」ってね。
嘘、嘘。
今のは冗談。
でも、ほんとに楽屋には来て。
君なら大歓迎。
君と一緒にいる時間が少しでもあるだけで、俺のパフォーマンス爆上がりだから。
これは嘘じゃないよ?
じゃぁ、次のライブで証明してあげる。
どれだけ君の存在が俺のエネルギーになってるか、ひと目で分かるくらい、今日の何倍もかっこいい姿見せてあげるね。
とはいえ、あの程度のライブでバテてるとかまだまだだなぁ…。
うん。
全然ダメ。
あの程度のライブやっても、もう1公演やれるくらいの体力つけないと…。
トップアイドルの道のりは険しいや…。
……ん?
離してほしいの?
なんで?
えぇー。
ヤダ。
だって、まだ元気充電中なんだもん。
今はねぇ……10%しか充電できてない。
フル充電まではあと半日は必要かも…。
その間は君のことを離すつもりは、これっぽっちもないよ。
…そんなに困った顔しないでよ。
まるで俺が悪いことしてるみたいじゃん。
どうしても離してほしいの?
だったら、急速充電する?
うん。
できるよ。
すぐ調子に乗っちゃう俺だからこそできる方法だけどね。
(耳元で)君からたくさんのギューとチューして?
そしたら、すぐ元気になるよ。
うん。
ほんと。
フル充電できたら、すぐ離すから。
約束する。
(彼女からのギュー)
(彼女からの触れるだけのキス)
…こんなキスで急速充電なんかできないよ。
急速充電するには、こういうキスじゃないと…。
(濃厚なキス)※長めにお願いします。
ごちそうさま。
ありがとね。
元気の充電できたよ。
俺も、コッチの俺も、ね。
君とのキスが気持ちよくて、一緒に元気になっちゃったみたい…。
「ライブが終わるまでは我慢」って、俺のワガママに付き合わせて寂しい思いいっぱいさせちゃったお詫びに、今夜はいっぱいかわいがらせて?
大丈夫。
明後日まで休みだし、君からいっぱい元気分けてもらえたから、今なら何でもできるよ。
『でも』も『だって』もナシ。
俺のやりたいようにさせて。
……ごめん。
もう無理。
限界…。
悪いけど、俺の気がすむまで付き合って。
(濃厚なキス)※キスしたままフェードアウトしてください。