小鳥遊きの
voice:小鳥遊きの

アイドル彼氏は一緒に過ごしたい

(玄関扉の開閉音)

(ソファにドカッと座る彼)

(八つ当たり気味に)あ゛ぁ゛ー、疲れたぁー。
でも、ギリ今年中に帰ってくれただけまだマシか…。

あのさー、俺、半年前から言ってたよね?
「12月のオフはなくていい。その代わり、クリスマスイブからちょっと早い正月休みにして」って。

なのに、なんなの?
結局クリスマスイブも、クリスマスも、大晦日までも仕事とか…。
マジでやってらんない。

分かってるよ。
忙しいことがありがたいことくらい。

……でも、今年は特別じゃん?

付き合い始めて、初めて迎えるクリスマスと年越しなんだよ?
一緒にケーキ食べたり、年末年始の準備したり……普通の人がやってる、普通のことを君としたかった。
ゆっくり二人だけの時間を過ごしたかった…。

(冷静になって)……ごめん。
今の、すごいイヤな言い方した…。
ワガママ言ったところで、仕事を()(ごの)みできないことくらい分かってるのに、つい、君と一緒に過ごしたかった気持ちが爆発して八つ当たりした…。

……キツい言い方して、ほんとにごめん。
許してくれる…?

(触れるだけのキス)

(彼女を抱きしめる)

…ありがと。

(溜息)はぁ…。
仕事を()(ごの)みできるくらいの売れっ子に早くなりたいなぁ…。
そしたら、イブから休めたかもしれなくない?

あぁ…逆に今よりももっと忙しくて休めないかもしれないか…。
それはそれでヤダなぁ…。

(彼女から体を離す)

で、休みはいつまで?

えっ!?
マジ!?
そんなに休んでいいの?

やったーっ!!

じゃぁ、クリスマスイブからやり直せるよね?

とりあえず、すぐ年越しだから、まずは年越しそば食べるでしょ?

で、年越しての一発目はクリスマスだよね。
ケーキ買ってきて、チキン食べて…。

そのあとは、大掃除……は、めんどくさいからパス。

ほかには……特にない…?
年末ってクリスマスくらいしかイベントないんだっけ?

そっかぁ…。

あっ!
あるじゃん!
忘れちゃいけない大事なイベントが!

(耳元で)ひ・め・お・さ・め。

これやんないと、姫初めできないもんね。

えぇー!?
ダメなの?
なんで?

はぁ!?
年末年始関係なく仕事とかバカじゃん。

休める時に休まないでどうすんの?
ぶっ倒れるよ?

言い訳は聞きたくない。
どうせ君のことだから、休みだって言われてるのに勝手に事務所に行って仕事しようとしてたんでしょ?

……無言ってことは、図星か…。
ったく、もう…。

なら、俺がそうさせなきゃいいだけの話だよね…。

普段我慢してる分、思いっきり抱き潰してあげる。
足腰立たなくなるのはもちろん、意識も吹っ飛ぶくらいには抱き潰されると思って。

ヤダよ。
なんのための休みなの?

こういうことを思う存分するためでしょ?
休み明けたら、エッチぃこともできなくなるんだし…。

せっかく一緒にいられるのに、仕事なんてさせない。
ずっとイチャイチャして、いっぱい気持ちいいことして、何も考えらんなくしてあげる。

ダーメ。
逃げようとしても無駄。

今から1秒たりとも離してなんかあげないから。
覚悟してね…?

(濃厚なキス)※ キスしたままフェードアウトしてください。