悪ふざけもほどほどに

あっ!
ケーキ!
いつ買ってきたの?

 (彼女:「急に食べたくなっちゃって、今日の帰りにね」)

ふぅーん。
今日の帰りに買ってきたんだ…。
…こんなにたくさん…。

俺に隠れて食べようとしてたってことは、もしかしなくても、(ひと)()めするつもりだった?

普通にズルくない?
俺も1個食べたい!

 (彼女:「えぇー!?」)

じゃぁ、君の言うこと何でも1つ聞く権利とケーキ1個を交換ってのはどう?

 (彼女:「何でもいいの?」)

うん。
何でもいいよ。
『食器洗っといて』でもいいし、『全身マッサージして』でもいいし…。
でも、『言うことを3つに増やして』みたいなのは、ナシね。
それは、圧倒的にズルいから。

 (彼女:「…分かった。いいよ」)

えっ!?
いいの!?

やった!

俺ね、ショートケーキがいい。

 (彼女:「はい、どうぞ」)

ありがと。
いっただきまーす!

 (彼女:「ちょっと待って」)

(ムッとして)なんで『待って』なんて言うの?
食べようとしてたとこなのに…。

 (彼女:「交換条件だけど、今日1日私の犬になって」)

はぁ!?
『今日1日君の犬になる』の!?
それが条件!?

ヤダ…。
そんなの…。

 (彼女:「じゃぁ、ケーキ返して」)

ケーキ返すのもヤダ…。

 (彼女:「交換条件って言ったのは君だよ?どうする?」)

……分かったよ…。
今日1日だけ、犬になる。

 (彼女:「ちなみに、犬だから『ワン』以外喋っちゃダメね」)

はぁ!?
「ワン」しか(しゃべ)っちゃダメなの!?
それだと言いたいこと伝えらんなくない?

 (彼女:「大丈夫だって。汲み取ってあげるから」)

(拗ねて)むぅ…。
どうなっても知らないからね?

【※以下、『ワンワン』のみです。鳴き方や『ワンワン』の回数などは、アドリブで演じていただいて構いません。】

(「今すぐケーキを食べたい!」の気持ちで)ワンワン

 (彼女:「甘えたいのかな?」)

(「そうじゃないよ」の気持ちで)ワンワン

 (彼女:「よしよーし」)

(ちょっと苛立って)ワンワン

 (彼女:「あれ?怒った?」)

(「そうだよ」の気持ちで)ワンワン

 (彼女:「怒んないでよ」)

(「そんなの無理」の気持ちで)ワンワン

 (彼女:「ごめんって。私が悪かったから。許してよ」)

(「どうしても?」の気持ちで)ワゥーン…

 (彼女:「意地悪してごめんね」)

(許さないとばかりに、彼女に襲いかかる)

(濃厚なキス)※長めにお願いします

 (彼女:「ちょっと待って。息できない…」)

(キスしながら「そんなの知らない」の気持ちで)ワンワン

 (彼女:「何言ってるか分かんない」)

【「ワンワン」終了】(※以下、キスしながら)

「そんなの知らない」って言ったの。

なんで分かんないの?
『言いたいこと()み取ってくれる』って言ったじゃん。

そもそも、犬になってってお願いした時点で、こうなることは分かってたでしょ?

(※キス終了)

まぁ、どっちでもいいんだけどさ…。

あーぁ。
さっきまでケーキ食べる気満々だったのに、そんな気分じゃなくなっちゃった…。

だって、ケーキよりもおいしそうな物が目の前にあるんだもん。

 (彼女:「おいしそうな物?」)

そ。
君のこと。

キスも甘かったけど、今は声も吐息も、君の全身の何もかもが甘く感じる。
だから、ケーキよりも君が欲しくなっちゃった。

 (彼女:「ダメ」)

『ダメ』はダメ。
これ以上、もう『待て』はしないよ?
ってか、『待て』なんかできない。

次『待て』をするのは君の番。

上手に、ちゃんと『待て』してね?

(濃厚なキス:省略可)※ キスしたままフェードアウトしてください。