ふたたび るびぃ
voice:ふたたび るびぃ

来年のジューンブライドを先輩に予約する後輩彼氏

ただいまー。

(溜息)はぁ…。

疲れた…。先輩、疲れてない?

疲れてないの!?

すご…。

まだ片付けできる元気あるんだ…。

俺、無理…。

片付けする元気もない…。

結婚式とか(堅苦かたくる)しいの、やっぱり俺(苦手にがて)…。

あぁいうフォーマルな場所って、息が()まる感じがしない?

(気疲きづか)れしちゃった…。

ねぇ、先輩。

ソファーに座って?

で、俺の腕の中に来て。

先輩をギューさせて?

俺に(いや)しをちょうだい?

(拗ねた感じで)困った顔しないでよ。

だって、俺、今日すごくがんばったでしょ?

ちゃんと、『受付係』って(大役たいやく)()たしたよ?

(褒美ほうび)、あってもいいよね?

(わがまま言う感じで)ねぇー?

わぁーい!

(先輩を抱きしめる)ギュー

(溜息)はぁ…。

(いや)される…。

今日の結婚式、よかったね。

二人共、すごく幸せそうで…。

まさか、あのイケメンで有名な先輩の同期の人が結婚するとは思わなかったなぁ。

社内で一番モテてたじゃん?

あの人(ねら)ってる人、結構いたから。

受付の子でしょ?

秘書課のお姉さんに、今年の新入社員で一番かわいい子でしょ?

ほかにも、たくさんいたんだよ。

先輩、知らなかったの?

あの人と先輩、めちゃくちゃ仲いいから、知ってると思ってた。

俺は先輩に彼氏がいないって知るまで、あの人と先輩が付き合ってるって思ってたから。

同期っていうには二人の距離近いし、(遠目とおめ)から見ても美男美女でお似合いだったし…。

俺、絶対()()ないって思ってたもん。

でも、先輩とは何でもないって知って、(もう)アタックして、俺の彼女になってくれて…。

俺、先輩と付き合えるってなった時、マジで泣いたからね?ほんとに。

それくらい先輩のことが好きなの。

今は、あの頃よりも、もっと大好きだよ。

ねぇ、こっち向いて?

チューしよ?

好きって気持ち、(おさ)えられない。

お願い。

チュー、しよ?

ん…。

(リップ音)

(耳元で)先輩、好きー!!

あっ!そういえば、先輩って結婚とか興味あるの?

(わり)(淡白たんぱく)そうだから、興味あるのかなぁって思って。

…で、どっちなの?

結婚、興味あるの?ないの?

…ないんだ。

へぇー。そうなんだ。

ごめん。ちょっとトイレ行ってきていい?

すぐ戻るから、ちょっと待っててね。

(ほんの少しだけ間を開ける)

お待たせ。

ん?何もないよ。

トイレ行ったついでに、ちょっと探し物してただけ。

…先輩さ、さっき俺に嘘()いたでしょ?

『結婚興味ない』って。

図星って顔してるね。

別に怒ろうと思ってるわけじゃないよ。

先輩ね、嘘()く時、いつも(身振みぶ)(手振てぶ)りが増えるの。

俺にバレたくなかったんだよね?

結婚したいって思ってるってこと。

ごめんね。実はずっと前から知ってたよ。

先輩が結婚したいと思ってるって。

結婚情報誌、こっそり買い続けてたでしょ?

前に見つけた時は『(付録ふろく)が欲しくて…』って言い訳してたけど、毎月買って、いろいろ調べてるの知ってるよ。

(付箋ふせん)貼ったり、チェック付けたりしてるの見ちゃった。

それで、今日の式の間もずっと(うらや)ましそうに見てたのも知ってる。

思いっきり顔に書いてたよ。

『いいなぁ』『(うらや)ましいなぁ』って。

全部(見透みす)かされたみたいで、今すごく恥ずかしくてたまらないでしょ?

顔、めちゃくちゃ真っ赤。

ふふ。先輩、ほんと、かわいいんだから。

そんな先輩に、俺からお願いがあるんだ。

…年下で、わがままで、甘えん坊で、全然頼りない俺だけど、どうか俺と結婚してください。

世界でたった一つの、先輩に(ささ)げる指輪です。

どうか、俺の気持ち受け取ってくれませんか?

お願いします!

…うわっ!?

いきなり抱きついてきたら危ないよ?

……先輩の返事、聞かせて?

ちゃんと先輩の口から聞きたい。

…うん。こちらこそ、よろしくお願いします。

…あのね、さっき嘘()いて、ごめんなさい。

トイレ行くって言って、指輪取りに部屋に行ってたの。

サプライズとはいえ、先輩に嘘()いたんだもん。

ごめんなさい。

…指輪、俺がはめてもいい?

左手、出して。

…よかった。ぴったり。

やっぱり実際はめるまでちょっとドキドキするね。

ちゃんとサイズ測ったけど、合わなかったらどうしようって思っちゃった。

『どうして先輩のサイズ知ってるか』って?

先輩が寝てる間にサイズ測ったから。

で、オーダーメイドで作ったの。

情報誌にチェックしてたのを参考に、こういうのが好きなのかなぁって想像しながらね。

先輩によく似合ってる。

すごくかわいいよ。

気に入ってくれた?

ふふ。気に入ってもらえてよかった。

(彼女を抱きしめる)ギュー

それでさ…もう一つ(提案ていあん)なんだけど…。

来年の6月に式を()げませんか?

ジューンブライド、しませんか?

ほんとは、6月に式()げたいって思ってたんでしょ?

先月の情報誌で(付箋ふせん)貼ってたの、全部ジューンブライド関係だったから。

素直に全部話してよ。

こういうの、(妥協だきょう)したくないからさ。

だって、一生の思い出になるんだよ?

先輩と一緒に歩き出す人生の最初の思い出は大事にしたいから。

ちゃんと、俺に教えて?

先輩の気持ち。

(相槌数回打つ)

……ん。素直でよろしい。

じゃぁ、今から式場探してみようか。

二人の意見が一致した式場にしようね。

先輩、俺に合わせようとするから、そういうのしないでね?

ちゃんと自分の意見、言ってね。

じゃないと、俺、本気で怒るからね?

(めちゃくちゃ甘い感じで)二人の(あら)たな一歩を踏み出すための素敵な式場、見つけようね。