Zakuro
voice:Zakuro
ネジの実ボイスチャンネル
voice:ネジの実ボイスチャンネル

告白されるのがイヤで後輩に彼女のフリをお願いする先輩

君の気持ちは嬉しいよ。

けど……ごめん。
君とは付き合えない。

好きな人がいるわけじゃなくて…。
今は誰かと付き合うとか考えられない。
仕事で手一杯だから。

ほんとにごめん…。

(走り去る足音)

(溜息)はぁ…。

おーい。
出ておいで。

それで(気配けはい)消せてると思ってるの?
立ち聞きしてるの、バレバレだよ。

(後輩が出てくる)

ったく…。
立ち聞きなんて、いい趣味してるね。

俺の指導、どっかで間違えたかな…?
立ち聞きするような子に育てた覚えはないんだけど…。

っていうのは、冗談。
偶然なんでしょ?
聞いちゃったの。

いいって。
謝んなくて。
こんなとこで告白断ってる俺も俺だし…。

もうイヤになる…。
告白断るのも…。

何度も告白されてみなよ。
付き合う気ないから振るでしょ。
振った女の子、皆泣くんだよ?
まるで、俺が泣かせてるみたいじゃん。
女の子泣かす趣味なんてないのにさ…。

でも、だからって好きでもないのに付き合うような不誠実なことはしたくないし…。
いっそのこと、ほんとに彼女でも作れば少しは変わるのかな…。

『そうですね』って、すっごい他人事じゃん?
大事に大事に育てたかわいい後輩が、こんなに冷たいなんて…。
俺、泣いちゃう…。

あっ…!
ねぇ。
たしか、今彼氏いないって言ってたよね?

この先しばらく作る気もない?

じゃぁさ、俺の彼女になってよ。

そ。
君が。
俺の彼女。

彼女と言っても彼女のフリだけどね。
特別、彼女らしいことはしなくていいよ。
ただ隣にいてくれれば、それでいい。

…どう?

ちょっ!
なんでイヤとか言っちゃうわけ?

先輩が困ってるんだよ?
後輩として、助けてあげようとか思わないの?
本気で付き合ってって言ってるわけじゃないのに…。

…たしかに、めんどくさいかもしれないけど…。

仕事帰りに、たまに一緒に帰ったり、ご飯行ったりするだけだよ。
一緒に帰るって言っても、君の家まで行ったりしないし、ご飯行った時は俺が(おご)るし。
誰かに見つかってバレたとしても、君に迷惑は絶対かけないって約束するから。
お願いっ!

…確認したいこと?
何?

本気で好きになったら…?
そういうことはないようにするけど……その時は、改めてちゃんと告白する。
フリのままだと思われたくないし、そういうケジメみたいなのはちゃんとつけときたい。

はぁ!?
意外ってなんだよ!
意外って!
後輩のくせに生意気な…。

(意地悪っぽく)先輩に対してそんな失礼なこと言ってていいのかな?
困った時に、『助けてください』って言ってきても、助けてあげない。

(えらそうに)ふふん。
素直でよろしい。

じゃぁ、交渉成立ってことでいい?

『仕方ない』とか言わないでよ。
ほんと、ツンデレだよね…。

さてと…。
あんまりサボってると怒られるし。
とりあえず、仕事戻るか。

(耳元で)今日からよろしく。
俺の彼女さん。