苦いコーヒー味のキスはアイスよりも甘いキスの始まり

(手を合わせて)ごちそうさまでした。

ふぅ…。
お腹いっぱい…。

えっ…!?
たった今、ご飯食べたばっかなのに、すぐアイス食べちゃうの?

お腹の中、入る?

『デザートは別腹』ねぇ…。
まぁ、いいけど…。

ってかさ、最近寒くなってきたのに、食べて大丈夫?
お腹壊さない?

『大丈夫』って言って、一昨日も冷たい物飲んでお腹壊してたの、どこの誰だったかなぁ?

分かってるなら、やめときなよ。
新作食べたいのは分かるけどさ、寒い時期はお腹壊しやすいんだから。

アイスじゃなくて、別の物にしよ?
ね?

どうしても食べたいの?

じゃぁ、1つ確認させて。
手、触ってもいい?

(彼女の手に触れる)

…冷たぁーい…。

アイス食べるの、やめよ?
今、アイス食べたら絶対お腹壊すよ。

だって、お腹壊す時は、いつも君の手が冷えてるんだもん。

(伊達だて)に君の彼氏してないって。
彼女のことは全部熟知してますぅー。

それにしても、今日は冷えすぎじゃない?
ご飯食べたばっかだってのに…。

ここまで冷たかったら指先痛いでしょ?
感覚ある?

洗い物は俺がやるから。
今日は水仕事しちゃダメ。

お湯使うにしても、ダメったらダメなの。
ね?
俺の言うこと聞いて?

ん。
いい子。

俺の手あったかいの、分かる?
『ちょっとだけ』!?

そんな状態でアイスなんか食べさせたくないんだけどなぁ…。

…食べなきゃ気が()まないんでしょ?

(溜息)はぁ…。
ったく…。

ちょっと待ってて。
アイス、取ってくる。

(少し間を開ける)

ごめん。
お待たせ。

手、出して。

はい。
あったかいカフェオレ。
君好みの甘さにしてあるよ。

それ、持ってて。
少しは手温められるでしょ。

(自分の飲み物をひと口飲む)

…これ?
これは俺の。
ブラックコーヒーだよ。

(更に、ひと口飲む)

『えぇー』って何?
ブラック飲んじゃダメなの?

なんで?

君が言うほど、苦くないよ。
慣れれば、ブラックでも十分甘いし。

まぁ、いいや。
とにかく、アイス食べよ。
溶けちゃうから。

ここ、おいで。
俺の膝の間。

食べさせてあげる。

ダーメ。
アイスなんか持ったら、せっかく温めてる手が冷たくなっちゃうでしょ。

それに、たまには甘えさせたいの。
最近イチャイチャする時間なかったしね。

ほら。
早くおいで。

お口開けて。
あーん。

…おいしい?

はい。
もう1回。

あーん。

お腹大丈夫?
冷えてきてない?

次のひと口で今日はおしまいね。

一気に食べたらお腹壊しちゃうから言ってるの。
今はよくても、1時間後とかは分かんないでしょ?

俺の言ってること、間違ってる?

じゃぁ、最後のひと口。
あーん。

はい。
おしまい。

…ねぇ。
ちょっと味見させてもらってもいい?

いや……あまりにも君がおいしそうに食べてるから、どれくらいおいしいのかと思って…。

ありがと。
じゃぁ、少しだけ…。

(触れるだけのリップ音)

ん。
あっまーいっ!

これ、甘すぎない?

えっ……何、その顔…。
「うぇっ…」みたいな…。
結構傷つくんだけど…。

あぁー…さっき言ってた『苦い』って、このこと…。
キスした時、苦くなるのがイヤだったの?

それなら、そうと言ってくれればいいのに…。

君のカフェオレ、ひと口ちょうだい。

(ひと口飲んだ後、触れるだけのリップ音)

これなら、いい?

満足そうな顔しちゃって…。
かわいいなぁ、もう…。

もっと、もっと甘いキスしてあげる。

続きはベッドで…ね。