くら闇子ASMR
voice:くら闇子ASMR

注射が嫌いな彼氏にはムチ時々アメを

【処置室の扉の開閉音】

(仕事モードで)こんにちは。
この(椅子いす)()けて、少しお待ちくださいね。
注射の準備をしますので。

(2人きりのいつも通りな感じで)……なに、ニヤニヤしてるの?
気持ち悪いよ。

服…って、ナース服のこと?

これ着るのは、当たり前じゃん。
今、勤務時間だもん。

スカート上げようとしないで。
この長さが標準なの。

ちょっと触らないでってば。

(ちょっとキレ気味に)…いい加減にして。

ここ病院なの、分かってる?
処置室の中には私たちしかいないけど、いつ誰が入ってくるか分かんないんだから。
あんまりふざけてると本気で怒るからね。

ほら、準備できたよ。
注射していくから、()き手じゃない方の腕出して。

(今更いまさら)『ヤダ』じゃないでしょ。
先生の問診も終わって、あとは打つだけなんだから。
さっさと打って終わりにしちゃおうよ。

ほら、ダダこねないの。
順番待ってる人いるんだから。

順番最後にするの?
別にいいけど…。
今日は特に予約多い日なんだよねぇ…。

…今日の予約の状況だと…次に順番がくるの3時間後くらいかな?
それでもいいの?

仕方ないじゃん。
予防接種は予約制なんだもん。
順番を最後に…って言うなら、今日の予約の最後ってことになるよ。

順番を変えるのは大丈夫だよ。
全然難しくないし。
『気分が優れないみたいなので、最後にしてほしいそうです』って、事務の人に言えばいいだけだもん。

どうする?
今やっちゃう?
それとも、3時間待って最後にやる?

打つも、打たないも、君(次第しだい)
私が決めることじゃないよ。

(十分じゅうぶん)優しいし、冷たくないよ。
事実なんだから、仕方ないでしょ。

じゃぁ、強制的に押さえつけられて注射してほしいの?
それこそ、全然優しくもないし、冷たいと思うけどね。

…でしょ?
どうするかは、自分で決めて。
私はそれに従うから。

いいのね?
じゃぁ、打つから、さっき言ったように()き手じゃない方の腕出して。

ほんと、注射嫌いだよね。
ちょっとチクッとするだけなのに。

それがイヤなの?

ふぅーん。
そうなんだ…。

私は別に注射嫌いじゃないよ。
4月に新人が入ってきたら練習相手にならなきゃいけないし。
嫌いとか言ってられないんだよね。
中には『ほんとに無理!』って言う人もいるけどさ。
自分が練習相手になって成長してくれれば、それでいいって感じ。

ほら、無駄話しないで、腕出して。
ちょっとでも打つまでの時間延ばそうと(わる)あがきするんだから…。

(仕事モードに切り替えて)じゃぁ、今から打っていきますね。
アルコール消毒で、かぶれたりしたことはありませんか?

はい、分かりました。
では、消毒していきますね。

体の力抜いてください。
力が入っていると、余計に痛くなりますので。

深呼吸しましょうか。
吸って…吐いて…。
もう1回。
吸って…吐いて…。

はい、そのまま楽に呼吸しててくださいね。

…お疲れ様でした。
終わりましたよ。

(いつも通りな感じに戻って)嘘じゃないって。
ほら、見て。
注射器、空でしょ。

痛くなかったの?
よかったね。

全然すごくないって。
誰だって慣れればできるし、たまたま痛くなかっただけだよ。
痛い時は痛いから。

今度からも私が注射するの!?

えぇー!?
…ヤダ。

だって、どうせまた直前になったら『ヤダ』って言うの分かるもん。
ダダこねて逃げようとするの、目に見えてる。

絶対に逃げようとしない?
ほんとに?
約束できる?

約束破ったら、新人の相手になってもらうからね。
新人の子、慣れてないから、きっとめちゃくちゃ痛いよ。
痛いの嫌いな君だと、倒れちゃうかもね。
それがイヤなら、約束守ってね。

あっ……ほんとは、もっとのんびり話したいんだけど、あんまりのんびりしてると(あや)しまれちゃうから、そろそろ出てって。
順番待ってる人たくさんいるから。
ごめんね。

忘れ物ない?

ん。
お疲れ様。

注射は終わったけど、待合室で15分は待機してて。
大丈夫だとは思うけど、副反応が出る可能性もあるから。
待機してる間に、体調がおかしいなぁって思ったら教えて。

15分経ったら帰っていいよ。
まだ仕事だから、一緒に帰ってあげられないけど、気を付けて帰ってね。

あっ!
ちょっと待って。

嫌いな注射がんばったから。
これは、ご褒美。

(触れるだけのリップ音)