【グラスが割れる音】
あ～ぁ、やっちゃった…。
このグラス、彼女がめちゃくちゃ気に入ってたやつじゃん…。
これ、『最後の1個だった』って言ってたやつだから、怒られるなぁ…。
（グラスを片付ける）
痛っ！
あっ……血、出てきちゃった…。
押さえるもの…押さえるもの…。
うわっ！
血、すごい出てくるんだけど…。
ヤバイ！ヤバイ！
えっと……とりあえず、血、流さなきゃ。
（手を洗う）
【水を流す音】
いった～い…。
水が沁みる…。
うぅ…。
（彼女に指を切ったことが見つかる）
（悪いことを隠すような感じで）
……何？
何でもないよ！
何でもない！
（彼女に手を掴まれる）
痛っ！
…ちょっと切っちゃっただけだよ。
消毒は、まだだよ。
これからするつもりだったの。
いっぱい血が出てきたから、とりあえず流さなきゃって思って…。
消毒してくれるの？
それくらい自分でできるからいいよ。
…本当にいいの？
迷惑じゃない？
ありがと。
じゃぁ、手 拭いたら行くね。
（彼女の元に移動する）
お待たせ。
本当にいいの？
消毒くらい自分でできるよ？
…よく怪我しちゃうから慣れてるし。
今日はちょっと調子が悪かっただけ。
洗い物してたら、ツルッと手が滑って、君が1番気に入ってたグラス、割っちゃって…。
それで、破片を片付けようとした時に指をザックリ切っちゃった…。
君のグラス割っちゃって、ごめんなさい。
今度同じやつ、探して買ってくるから。
…いらないの？
でも、あれ、すごい気に入ってたじゃん。
それじゃぁ、僕の気が済まないんだけど…。
（頭を悩ましている感じで）
ん゛ん゛～～～。
……あっ！
今度一緒にグラス買いに行こうよ。
お揃いのグラスにしよ？
ね？
いいでしょ？
やった！
約束ね。
いてて…。
興奮して指を動かしたら痛かった…。
あはは…。
（かしこまった感じで）
消毒お願いします。
…あんまり痛くしないでね？
なるべく、消毒 沁みないようにしてね？
うぅ……消毒、ヤダ…。
（消毒される）
いった～い！
『沁みないようにして』って言ったのに、めちゃくちゃ沁みるじゃん！
もういい！
消毒終わり！
もう消毒されたから！
もう大丈夫！
ヤダ！ヤダ！
もういいってば！
じゃぁ、あとは自分でするから。
ありがと。
（彼女が怪我した手を離してくれない）
手、離してって！
もういいから。
あとは自分でする。
絆創膏貼って終わりだもん。
君が消毒してくれたじゃん。
1回消毒液かければ大丈夫だって。
痛っ！
（ちょっと怒った感じで）
…今わざと傷のところ触ったでしょ？
（Sっぽく、小声で）
そういうことするんだ。
へぇ…。
ん？
何も言ってないよ。
『もういい』って言っただけ。
『もう1回消毒しないとね』って、それは君が傷を触ったからでしょ？
あとは自分でするから。
手に持ってる消毒液、僕に頂戴？
ほら、渡してよ。
ちょ、ちょっと！
痛いってば！
そんなに何回も消毒液かけなくていいから！
痛くて指千切れちゃう！
うぅ……痛い…。
『痛い』って何度も言ったのに、止めてくれなかった…。
今日の君、すごい意地悪…。
『ちゃんと消毒しないと…』って、それはそうだけど…。
1回消毒液かけたら十分だよ。
何度も消毒液かけなくていいって。
1回で十分消毒されてるから。
薬まで付けるの？
そこまでしなくてもよくない？
化膿はしないよ……たぶん…。
（彼女が言うことを聞かない彼氏を怒る）
（シュンとして）
ごめんなさい。
ちゃんと言うこと聞きます。
君の言う通りにします。
薬 付けて、絆創膏貼ってください。
お願いします。
……あれ？
こんなかわいい絆創膏、あったっけ？
貰い物？
へぇ、キャラ物を君が貰ってくるなんて珍しいね。
えっ…僕に付けるの？
こんなかわいいのを？
君が怪我した時に付けたらいいじゃん。
君が付けた方がかわいいよ。
僕が付けたってかわいくないもん。
（ふてくされた感じで）
今日の君はやけに強引だし、頑固だし、意地悪だし…。
すごくかわいくないと思うよ！
……あれ？
君も指、怪我してない？
人差し指の、ここ。
気付いてなかったの？
君も怪我してるなら、消毒しないといけないね。
さっき僕がしてもらったから、お返しに消毒してあげるよ。
遠慮しないで。
いつも自分の消毒してるから上手だよ。
（ドSに）
さぁ、手を出して。
いっぱい消毒してくれたお返しに、いっぱい消毒してあげるね。