ママが子供ばかり世話を焼くことにこっそり嫉妬しているパパ

(あくび)ふぁ…。
おはよ…。

ん?
帰ってきたの、日付変わってからだったから。
まだ眠い…。

…いい匂い。
朝ご飯作ってるの?
今日の朝ご飯、何?

ふぅーん。
そっか。

…朝ご飯作ってるところ、悪いんだけどさ……ギューってしてもいい?

えぇ~、ダメなの?
なんで?

『アイツがそろそろ起きてくるから』?
そんなのいいじゃん。
見せつけてやれば。
別に(喧嘩けんか)してるわけじゃないんだし…。

両親がラブラブしてるのって、悪いこと?
違うよね?

なら、いいじゃん。

(妻を抱きしめる)ギュー

(溜息)はぁ…。
(いや)される…。

久しぶりに君に()れたかも。
最近ずっと仕事で帰ってくるの、遅かったから、俺の中の君がゼロになってたみたい。
というか、むしろマイナスに()()ってたかも…。

こーらっ。動いちゃダメ。
今から君を(補充ほじゅう)するんだから。

朝ご飯?
アイツの分だけ作ってあげればいいよ。
俺、今日仕事行かないから、朝ご飯、あとでいいよ。

ずる休みじゃないし。
(笑いながら)休み、もぎ取ってきた。

いいじゃん。
毎日深夜まで仕事してたんだし、少しくらい休んだって(ばち)は当たらないよ。

今日、君も休みって言ってたよね?
アイツを幼稚園に行かせたら、久しぶりにゆっくり2人の時間過ごそ?
たまには夫婦(水入みずい)らずで、ゆっくりしてもよくない?

……それとも、俺と一緒にいるの、イヤ?

イヤじゃないなら、いいじゃん。
俺は君といっぱいイチャイチャしたいの。

アイツがいたら、いつも君は俺から離れるじゃん…。
『見られたくない』って言ってさ…。

俺、ずっと(さみ)しかったんだからね?
全然気付いてないと思うけど…。

…だよね。
君はアイツが生まれてから、ずっとママだもんね。

付き合ってた頃は『俺が1番』って言ってくれてたのに、いつの間にか、俺の場所をアイツに取られてた。

分かってるんだよ。
アイツはまだ子供だから、1番に考えてあげなきゃいけないって。

でも、たまに君がアイツに奪われたような気持ちになるんだよ。
アイツばかり(かま)ってるのがどうしても気に入らないんだもん。

仕事ばかりで忙しくしてる俺も悪いんだけどさ…。
アイツが見てない少しの時間でいいから、君に()れさせてよ…。
少しくらい、俺にも(かま)ってよ…。

…ごめん。
めんどくさいこと言ってるね。
顔洗ってくる…。

っん……!?

(濃厚なリップ音) ※ 長めにお願いします。

どうしたの?
君からチューしてくれるなんて…。

イヤじゃないよ。
むしろ、すっごく嬉しい。

…ねぇ、俺のこと好き?

いいじゃん。
言ってよ。
お願い。
久しぶりに、君の口から聞きたい。

うん。ありがと。
俺も、君のこと大好きだよ。
世界で一番…うぅん、宇宙で一番大好きっ!

あのさ……もう一回、チューしよ?
もっとしたくなっちゃった。

それはダメなの?
…ケチ。

アイツが幼稚園行ったらいいの…?
ほんとに?
やったー!
約束だからね。

あっ…ちょうどアイツ起きてきたね。

(以下、耳元で)先にベッド行って準備してるね。
君のこと、めちゃくちゃにしたくてたまらないから……なるべく早く来て。
待ってる。