【教室の扉を開ける音】
おっ!
帰らずにちゃんと来たな。
えらいじゃん。
はい、課題代わりのプリント。
これが終わったら帰っていいぞ。
【椅子をひく音】
よいしょ…っと。
ん?
どうした?
『邪魔』ってなんだよ。
ただお前の前に座っただけじゃん。
万が一にもお前がサボったりしないために、監視してるだけだって。
俺のことは気にしなくていいから、さっさとプリント終わらせろ。
【紙に文字を書く音】 ※ 少し長めにお願いします。
あのさ………ほんとは課題やってるだろ?
(溜息)はぁ…。
嘘
お前が嘘
いいから。
…見せろ。
【鞄を開けて、ガサガサする音】
ほら、やっぱり。
課題忘れたなんて嘘じゃん。
しかも……中も、きっちり書いてある。
なんで提出しなかった?
怒らないから言ってみ?
『
もしかして、夏休みにほとんど会えなかったから、俺に対する嫌がらせのつもりだったとか?
顔真っ赤。
お前のそういう素直なところ、すっげー好き。
ごめんな。
夏休みも毎日仕事だったんだよ。
休み明けからの授業の準備とか、部活の
やること多くて、お前を
っつーか、自分ばっか
…俺だって、寂しかったんだから。
たまに部活してるお前を見かけて、元気
『
(笑いながら)冗談じゃなくて、わりと本気で思ってた。
それくらい
なぁ……どうして
ヒント?
仕方ないなぁ…。
この教室の場所を考えれば分かるよ。
制限時間は5秒。
カウントダウン、スタート。
(ゆっくりと)5、4、3、2、1、0。
はい、答えて。
ブッブー!
残念でした。
正解は……お前と2人きりになりたかったから。
人が来ることもない。
だから、安心しろ。
…おいで。
(彼女を抱きしめる)ギュー
やっと、この腕に抱きしめることができた…。
(溜息)はぁ…。
幸せ…。
少しだけでいいから、このままジッとしてろよ。
お前を
(彼女の匂いを嗅ぐ)
久しぶりのお前の匂い。
めちゃくちゃ甘くて、いい匂い。
でも、前より甘いような気がするけど…なんか、つけてる?
つけてないんだ。
じゃぁ、この甘い匂いはお前自身の匂いなんだ…。
ヤバ……興奮してきた…。
バ、バカっ!
『襲ってもいいよ』とか言うなよ。
ここが学校ってこと、忘れたのかよ。
さすがにこんなところで襲ったりしねーよ。
俺の中の理性、かき集めて我慢してんだから。
(深呼吸を数回する)
やっと落ち着いた…。
ごめんな。
かなり力いっぱい抱きしめたから、体痛くないか?
そっか。
それならよかった。
じゃぁ、課題はちゃんとやってあるから
こういうことは、もうやるなよ?
あっ、そうそう。
職員室にこれ置いて、荷物持ったら、車で迎えに行くから。
(耳元で)今日は俺の家来いよ。
これだけで満足したなんて言わせねーからな。