（よそ見しててぶつかる）
おっと……すいません。
お怪我はありませんか……って、あれ？
久しぶりじゃん。
俺だよ。俺。
学校卒業して以来だっけ？
元気してた？
そっか。
俺も、ボチボチってとこ。
こっちに帰って来てるなんて珍しいじゃん。
クラスでの飲み会の案内、いつもお前は『帰れないから』って欠席ばっかだったのに…。
なんか、こっちに帰ってきたくない理由でもあんの？
元彼に会いたくないとか…。
ふぅーん。
ただただ仕事が忙しかっただけ、ねぇ…。
……ほんとに？
ん。
なら、信じる。
お前がこの程度のことで嘘
それに、俺に嘘
方便としての嘘はあっても、騙そうとしての嘘はない。
だから、お前の言葉を信じる。
ってか、こっちに帰ってきたってことは夏休み？
いつまで？
そっか…。
その間、予定とか入ってたりしない？
誰かと遊びに行く的な…。
了解。
じゃぁさ、明日の夜にクラス会という名の飲み会を開くんだけど、来ない？
…ほんとは今回の飲み会は中止の予定だったんだよ。
回数重ねるごとに集まり悪くなってったし…。
だけど、やらなきゃやらないで、なんか寂しくて…。
結局昨日やることになってさ…。
実は、まだ全員に連絡回せてない…。
連絡したヤツらは、だいたい来るよ。
お前と仲良かった……アイツ……えっと……そう！そいつも来るって。
どう？
時間あるなら、来ない？
（ちょっとムッとして）なんで来ないんだよ？
こっちにいるんだし、欠席する理由なくない？
……大勢でワイワイするのが苦手、か…。
なら、仕方ないな…。
別に強制するつもりはないよ。
ちょっとした俺の野望があるだけだから。
野望なんて言ったけど、
恥ずかしいから、言いたくない。
ヤダって。
…絶対笑わない？
マジで？
……クラスのヤツら全員と酒を飲むこと。
なんか、大人って感じしない？
ガキの頃バカやってゲラゲラ笑ってたヤツらと酒を
だから、いつかお前と一緒に楽しく酒飲んでみたいなぁって思ってた。
それだけ。
いいって。
無理して来ても、楽しくないじゃん？
だったら、別の機会作る。
そん時に一緒に飲も。
な？
（通知音）
ヤッベ…。
実は仕事中だったんだわ。
謝んなって。
俺から話しかけたんだし…。
お前と話せたの嬉しかった。
（イヤそうに）あ゛ぁ゛……仕事したくない…。
でも、やるしかないか…。
じゃぁ、またな。
（その場を離れる → すぐ戻ってくる）
一番大事なこと聞き忘れてた！
連絡先、変わってないよな？
変わった！？
だったら、新しい連絡先、教えて。
いいじゃん。
何かで連絡することがあるかもしんないし…。
これ、俺のQRコード。
読み取って。
で、なんか適当にメッセージ送って。
（通知音）
来た。
…「適当にメッセージ送って」って言ったけど、今時『テスト』って送るヤツいる？
（ちょっと笑いながら）まぁ、そこがお前らしいっちゃらしいか。
ありがとな。
また連絡する。
（走り去る足音）※ 省略可