雨月ミツル
voice:雨月ミツル

かわいい系の年下彼氏は羊の皮を被った狼だった

ねぇ。
ちょっとこっち見て。

忙しいの分かってるけど、ほんのちょっとだけでいいから。
俺を見て。

あのね、髪型変えてみたんだけど、どうかな?
似合う?

えぇー!
なんで『かわいい』って言うの?
『かっこいい』って言ってもらえるはずなのに…。

あのね、昨日買った雑誌で特集されてたの。
『女の子にかっこいいと思われる髪型』ってヤツ。
俺がいいなぁって思ったのが……この髪型。

んー……やっぱ、似てないのかな?
がんばったつもりなんだけどなぁ…。

あーぁ、残念…。
今日こそは『かっこいい』って言ってもらえると思ったのに…。

無理なんかしてない。
どうしても君に『かっこいい』って言ってもらいたいんだもん。
そのためなら、いくらでもがんばるよ。

だけどさ…なんで、いつも『かわいい』しか言ってくれないの?

年下だから?
経済力も包容力もないから?
君に甘えてばかりだから?

…俺だって男だし、『かわいい』よりは『かっこいい』って言われたい。
特に、大好きな彼女には…。

(彼女に頭を撫でられる)

ヤダっ!
()でないでよ。
せっかくセットしたのに崩れちゃう。

もうっ!
この髪型にするのに、どれだけの時間がかかったと思ってるの?
1時間だよ?
1時間!
すっごく大変だったんだから、崩さないで。

ヤダっ!ヤダっ!
やめてってば!

(彼女を押し倒す)

(彼女の両手を押さえつける)

(※ 以下、最後まで強気な感じでお願いします)

もういい加減にして!

あーぁ……髪、ぐしゃぐしゃ…。
マジ最悪…。

ふふ。
いきなり押し倒されて、両手押さえつけられてびっくりした?

そりゃそうだよね。
普段の俺からは想像つかないか…。
こんなことするなんて…。

動かないでしょ。
俺も一応男だし、君よりは力強いから。
押さえつけることくらい簡単だよ。

何度もやめてって言ったのに、こうでもしなきゃ、やめてくれなかったでしょ?
だから、少し手荒だけど、両手押さえつけさせてもらったの。

ん?
なぁーに?

『人が変わったみたい』?

そりゃそうかもね。
今までは猫(かぶ)ってたんだもん。
こっちが、ほんとの俺。

『なんで?』?
それ、聞いちゃう?

…そんなの決まってるじゃん。
君が『かわいい系が好き』って言ったから。
それだけだよ。

でも、さすがにもう限界。
ずっと子供扱いばっかされてさ…。

付き合ってても、俺のこと、男として見てくれてないでしょ?

『違う』って言うわりに、頭撫でてきたり、『かわいい』って言ってきたり…。
そういうの全部、子供扱いされてるとしか思えなかった。

今更謝ってきて許してもらえると思ったの?
遅い……遅すぎるよ!

俺、怒ってるんだから。
この手も、離してなんかあげない。

……何、その反応…。
押さえつけられて興奮してるの?
顔真っ赤にして、目潤ませて…。

あっ!分かった!

(耳元で)俺に食べられたいんでしょ?

違う?
ほんとに?

そんな風に見えないんだけどなぁ。
食べてほしくてたまらないって顔してるよ?

そっか…。
自分の気持ちに正直になってくれないんだね…。
正直に言ってくれたら、何でもしてあげようと思ったのになぁ。
言わないなら、俺がやりたいようにやるだけ…。

(触れるだけのリップ音)

物足りないって顔してる。

もっとすごいキスしてもらえると思った?

…残念でした。
まだしてあげない。

してほしいなら、このかわいい口で言って。
『私を食べて』って。

簡単でしょ?
言って。

ふぅーん。
どうしても言わないんだ。

じゃぁ、いいよ。
分かった。

よいしょ…っと…。
ジッとしてて。
うまくできないでしょ。

(彼女の両手を縛り上げる)

…できた。

両手を(しば)るのって、ちょっとゾクゾクするね。
体の自由を制限してるみたいでさ…。

(あば)れても無駄、無駄。
簡単に(ほど)けないように(しば)ってるから。

必死にもがいちゃって……ほんと、かわいい。

まるで、今から食べられるウサギちゃんみたい。

ふふ。
また顔赤くなった。

あのね、男は(みんな)、狼なんだよ。
特に好きな人相手にはね。
『年下だから…』って舐めてると痛い目に合うんだから。
気を付けないと、食べられちゃうんだよ?

こうやって…。

(濃厚なリップ音)

こんな俺でも好きでいてくれる?
君の好きなかわいい系じゃないけど……まだ好きでいてくれる?

…そこは素直に言っちゃうんだ。
ほんとズルいなぁ…。

今まで我慢してたけど、もう無理。
俺が限界。

今から、ここで、シよ?

ベッドまで行かない。
ってか、行く余裕がない。

いいから!
(耳元で)…黙って、俺に抱かれてろ。