スイーツを爆食いして気持ちを切り替えようとするうさぎ系男子

ねぇ。
今週末、暇?

だったらさ、買い物行こ。
新しい服買いたい。
で、そのあとここの限定スイーツも食べよ。

一人でなんか、行けないよ。

…だって、スイーツ食べに男一人で行くのって、結構勇気いるんだよ?
周りは女の子ばっかで、肩身狭いし…。
その点、女の子が一緒だとカップルだと思われて入りやすい。

ね?
メリットしかなくない?

君以外とか、無理に決まってんじゃん。
俺が人見知りだって知ってるくせに…。

(子供のワガママっぽく)行こうよぉー。
ねぇー。

(先輩、登場)

あっ!
先輩。
お疲れ様です。

えっ……そんな大きい声でした?
先輩に聞かれてたなんて……恥ずかしいなぁ…。

さっきは、ここの限定スイーツ食べに行こうって話してたんですよ。

えっ!?
先輩、もう食べに行ったんですか!?

羨ましい…。
おいしかったですか?

へぇー。
そうなんだ。

もし、先輩さえよかったら、今週末一緒に行きませんか?
俺一人で行くには、ちょっとハードルが高くて…。

……デート?

……先輩、彼氏できたんですか?

聞いてないですよ。
びっくりして、動揺しちゃったじゃないですか。

おめでとうございます。
彼氏さん、どんな人なんですか?

写真!?
見たい!見たい!

(先輩、彼氏の写真を見せてくれる)

おぉー。
優しそうな人。
お似合いですね。

いいなぁ。
俺も彼女ほしい…。

彼女いませんよ。
女の子とよく話してるだけであって、全然モテないですって。
基本的に『かわいい』って男扱いしてくれないですもん。

先輩の彼氏さんみたいに、かっこいい男を目指して、これから路線変更してみよっかな…。

…このままでいいんですか?
そしたら、俺、永遠に彼女できないかもですけど……その時は、先輩が責任取ってくれるんですか?

なーんてね。
すみません。
意地悪がすぎました。

今のは冗談です。
先輩にお願いされたし、このままでいます。

(先輩のスマホの通知音が鳴る)

彼氏さんですか?

へぇー。
お迎えに…。
だったら、早く行った方がいいですよ。

はい。
また今度ゆっくり話聞かせてください。

お疲れ様でした。

(先輩、その場から去る)

(重めの溜息)はぁ…。
マジか…。
普通にショック…。

さっきの先輩、幸せいっぱいオーラ出てたよね…。
俺の入る隙間なんて、これっぽっちもないって感じで…。

やっぱ、かわいい系だからダメなのかな?
どう見ても弟か後輩としてしか見てないよね。

男として見てもらえない時点で、スタートラインに立ってすらいない…。
先輩には『かわいいままでいて』って言われたけど、さすがにあの彼氏さんの写真見て、かわいいままでいるのは無理だわ。

…決めた。
先輩が彼氏さんと別れた時のためにも、今からかっこいい男になる!
ワンチャン、彼氏になれるかもしれないし…。

でも、その前に今からヤケ食いしに行こ。
スイーツ食べに。

食事制限は今日だけお休み。
この失恋を乗り越えるには、好きなものを好きなだけ食べないとやってらんない。

で、かわいい路線からかっこいい路線への切り替え大作戦を念入りに計画して、いつか先輩に『かっこよくなったね』って言ってもらえるように、がんばる!

(友人、逃げようとする)

…こら。
逃げるな。
乗りかかった船なんだし、スイーツ奢ってあげるから、最後まで付き合って。

(彼、友人を強引に経たせて歩き出す)

ほら。
行こ!行こ!

(立ち去る2人)