天蘭-soran-
voice:天蘭-soran-

猫には絶対負けたくない

(ちょっとイラついてる感じで)(溜息)はぁ…。
なんかいろいろ疲れすぎて、もう動けない…。

ん?
飲み物…?

…いらない。
そこまで喉渇いてないから。

…別に……怒ってない。
…機嫌が悪いだけ。

今日のデートで、猫カフェに行くことになったのがイヤだったわけじゃない。
猫嫌いじゃないし、俺が「君の行きたいとこに行こ」って誘ったんだし…。
ただ、猫カフェにいた時間が気に入らなかった…。

だって、ずっと隣にいるのに、全然構ってくれなかったじゃん?
「ねぇ」って声掛けても、『ちょっと待って』って猫ばっか構ってて、俺のことはほったらかし…。
それが店に入ってから出るまでだよ?
君が猫好きなことは分かってるけど、そんな扱いされて拗ねないでいられるほど大人じゃない。

…うるさい。
今更謝ってきても遅い…。

謝るくらいなら、最初から俺のことも構ってよ。

(触れるだけのキス)

こんなキスひとつで、許してもらえると思ってるの?
俺も舐められたもんだね…。

(彼女の匂いを嗅ぐ)

…猫の匂いが付いてる。
なんかヤダ…。

(彼女を抱きしめる → スリスリする)

くすぐったくても、我慢して。
今、俺の匂いで上書きしてるんだから。

俺の匂い嫌い?
付けられるの、イヤ?

イヤじゃないなら、大人しくされるがままでいて。

(彼女にスリスリする)

気休めでもいいの。
少しでも俺の匂いを付けないと…。

君に俺以外のオスの匂いが付いてんの、普通にヤダ。
俺のじゃなくなったみたい。

気付いてないの?
頭のてっぺんからつま先まで、全身猫の匂いしてる。
人の形をした猫なの?ってくらい、すっごくね…。

……こんなに猫の匂いが付いちゃったのも、あのオス猫のせい…。

ん?知らなかった?
君にやたら懐いてたあの猫、オスだよ。
君があまりにも構ってくれなくて暇だったから、近くを通りかかった店員さんに「あの猫ってオスですか?メスですか?」って話しかけて、いろんな話聞いちゃった。

あの猫ね、人が近づいてこようものなら一目散に逃げ隠れるくらい、人が嫌いなんだって。
普段はキャットタワーとか、人の目に届かないようなところに隠れてて、フロアに出てくることは滅多にないらしくて…。
なのに、君には自分から近づいて、甘えて、マーキングまでしたでしょ?
店員さんも驚いたって言ってた。
『彼女さん、猫たらしな人だったりします?』って、冗談っぽく言われたけど、正直俺はそれどころじゃなかったね。
君からどう引き剥がせばいいか、そのことばっか考えてた。

とはいえ、正直、メスとして君を気に入ったことに関しては、分かり合えると思う。
俺が彼女にしたくらいのいい女なんだもん。

だとしても、後からしゃしゃり出てきたくせに、ちゃっかり俺の定位置奪われるとなると、話は別。
浮気相手に横取りされたみたいじゃん…。

人だろうが、猫だろうが、犬だろうが、オスはオス。
浮気になるんですぅー。

どうせ、俺は心の狭い男ですよ…。
きっとあの猫も俺の心の狭さに気付いて、マウント取ってくるようなことしたんだと思うし…。

たぶん、君に俺の匂いが濃く付いてたことで、君の一番近くにいるって気付いたんだと思う。
君があの猫を撫でてる最中に俺の方に視線を寄越して、『いいだろう?こんなに構ってもらえて。悔しかったら、この場所を奪ってみろ』って目で言ってた。

絶対言ってた!
猫語は分かんないけど、勘違いじゃない。
オス同士だから、分かる。
あの視線は、俺に喧嘩売ってた。

……完敗したけど…。

ねぇ。
ちゃんと、俺のこと好き?

あの猫よりも?

ほんとに?

じゃぁ、嘘じゃない証拠にキスして?
猫とはできないようなヤツ…。

(濃厚なキス)

(※ 以下、キスしながら)
…猫の匂い?
だいぶ消えたよ。

その代わり、君の匂いが強くなってきた。

うぅん。
汗臭いとかそういうのじゃない。
香水とかじゃなくて、発情してる時のフェロモンの匂い……かな?
エッチぃ時によく君から匂ってくる。
甘くて、頭の中蕩けそう…。

……すごくいい匂い。
この匂い、好き…。
まるで俺を誘惑してるみたい…。

違うの?
なら、やーめた。

(キスやめる)

何?
自分で言ったんでしょ?
『発情してないし、誘惑もしてない』って。
だから、やめたのに…。

(耳元で)なんで、そんなにもの欲しそうな視線で俺のこと見るの?
ほんとはもっとしてほしいんじゃないの?
正直に言ってごらん?

…よく言えました。

今回は謝ってくれたし、チューしてくれたから許してあげる。

でも、次、俺のことほったらかしにしたら、許さないから。
ちゃんと覚えといてね?

(濃厚なキス)※ キスしたままフェードアウトしてください