小鳥遊きの
voice:小鳥遊きの

どうして名前で呼び合うの?

(彼女が彼を見つけて駆け寄ってくる)

お疲れ様。

へへ。
びっくりした?

サプライズ、大成功ー!
なんとなく迎えにきたくて、来ちゃった。

全然待ってないし、寒くなかったよ。

ほんと。ほんと。

ほらね?
手、あったかいでしょ?

それよりも、さっき一緒に出てきた男の人、誰?

ふぅーん。
同期の人なんだ。

別に気にしてなんかないよ。
話し声が聞こえて、名前で呼び合うくらい仲いいんだなぁーって思っただけだから。

……ん?
ちょっと待って。

今、名前で呼び合うことを『(些細ささい)なこと』って言った?

名前だよ?
名字じゃないんだよ?
会って間もなかったり、大して仲よくない関係では、フラグも立たないイベントだよ?
ただの同期程度では、まず起こらない。
なのに、君とあの人はそれをやってる。

…実は、同期以上の関係だったりするんじゃないの?

疑いたくないけど、疑いたくなっちゃうくらい仲よさそうなんだもん…。
不安にもなるよ…。

理由?
何?

(数回相槌)

同じ名字の人がいるから、区別するために名前で呼んでるんだ…。
二人共?

あの人はいるけど、君はいない…?

だったら、名前で呼ばなくてもよくない?
あの人を呼ぶ時は、フルネームで呼べばいいじゃん。
名前で呼んでるってことは、同姓であっても同名ではないんだし…。

ってか、あの人が君の名前を呼ぶのはおかしいでしょ?

だって、必要ないじゃん。
君の名字は、君しかいないんだから。
あの人は君を名前で呼ばずに名字で呼ぶべき。
違う?

うるさいな…。
どうせ子供だよ…。
子供だから、こんなちっぽけなことで嫉妬するんだよ…。
もっと余裕を持ちたいのに…。

……あんな経済力も包容力も頼り甲斐もあって、器もデカそうな大人の男の人が君の近くにいるなんて……不安しかないよ…。
いつか俺みたいな子供より、あぁいう大人の男の人がいいって言われそうで…。
捨てられそうで……正直、怖い…。

…ほんとに…?

…ほんとのほんとに、俺でいいの…?

名前呼びしてたくらいで嫉妬するような男だよ?
逃げるなら、今しかないよ…?

(彼女を抱きしめる)

んんーーっ!!
好きっ!!
マジ好きっ!!
あとで『やっぱ、別れて』なんて言ってもダメだからね?
もう離してあげない。

あっ!
外だったね。
ごめん。ごめん。
嬉しすぎて、つい…。

(彼女から体を離す)

デキる大人オーラ出してる男の人よりも俺を選んでくれたんだよ?
喜ばずにいられないって!

……あぁ、どうしよう…家まで我慢できないかも…。

(耳元で)今すぐイチャイチャしたい。

ヤダ!無理!
家に帰る前に2時間くらい寄り道しようよ。

(ちょい拗ねて)…むぅ…ケチ…。

でも、家に着いたら、いっぱいイチャイチャしようね?

分かってるって。
明日もあることだし、今日はいつもの甘々イチャイチャコースにする。

でも、ここに”1秒も離してあげない”ってオプションつけていい?

ついさっき『いっぱいイチャイチャしてもいい』って言ってくれたじゃん。

今日だけだから。
ね?

うん。
ほどほどにする。

ふふ。
やったー!

今夜はちょっとだけ夜更かしに付き合ってね?