小鳥遊きの
voice:小鳥遊きの

満員電車も悪くない?

(満員電車の中)

(2人は密着している状態)

……久々のラッシュ、キツ…。

ん?
そ。
君と付き合う前まで、いつもこんな状態の電車に乗ってた。

だって、ギリギリまで寝てたいじゃん?
そうなると必然的にこの時間になっちゃうんだよね。

でも、君と付き合い始めてからというもの、時間に余裕をもてるようになった。
少しでも長く、君と一緒にいたいから…。
それもこれも全部、君のおかげ。
俺を変えてくれて、ありがと。

(電車が揺れて、彼女が押し潰されそうになる)

っと……ラッシュの時の電車乗るの、慣れてないんだっけ?

…こっちおいで。

(彼女を壁際に移動させ、壁ドン状態になる)

駅着くまで、俺の腕の中にいて。

『なんで?』じゃないじゃん。
さっき潰されかけてたでしょ?

好きな子が知らないヤツらに押し潰されて苦しんでるの見るのとか無理。
君の体に知らない男が触れてるんだよ?
そんなの許せると思う?

この状況では不可抗力かもしれないけど、そんなの関係ない。
必要以上に知らない男に触れられてほしくないから言ってんの。

いいですよー。
どうせ心の狭い男ですー。

(彼女の髪の匂いを嗅ぐ)

ねぇ。
シャンプー変えた?

いつものと似た匂いなんだけど、微妙に違うから、すぐ分かった。

ふふん。
俺のこと、甘く見ないでもらえる?
君のことならどんな小さな変化でも気付ける自信あるよ。

前髪切ったとかなら、秒で分かるし。
明らかに切る前と切った後で印象全然違うもん。

ってか、分かんないヤツの気が知れない。
相手の子のこと、そんなに好きじゃないか興味がないか、のどっちかだね。
きっと。

(彼女の髪の匂いを再度嗅ぐ)

いいね。
この匂い。
前の匂いも好きだけど、こっちの匂いの方がもっと好き。

(耳元で)エッチぃイタズラしたくなっちゃう。

ごめん。
嘘。嘘。
冗談じゃん。

(電車が揺れて、押し潰される)

ぐっ……。

へへ。
大丈夫。大丈夫。
今のはちょっと油断して体勢崩したけど、俺はこの程度平気。
少なくとも、君よりはこの状況に慣れてるしね。

俺より君は大丈夫?
潰してなかった?
体を張って守るとか言った矢先にこの醜態…。
マジでかっこつかないや…。

それより、気持ち悪くなったりしてない?
いつもと状況が違ってかなり人多いし、押し潰されないためとはいえ、窮屈な思いさせてるし…。

ほんとに?
我慢してない?

そ。
なら、いいんだけど…。

無理そうなら、午前中ズル休みして、どこかカフェでのんびりしてからでもいいかなって思っただけ…。
こんなことでもなきゃ、ゆっくり休まないじゃん?
忙しいとご飯食べないこともあるし…。
……心配してるんだよ?

平気なのは分かったって。
ズル休みはナシね。

でも、まだこの混雑続くから、このまま俺の腕の中にいて。
今度こそ、駅に着くまで守り通すから。