天蘭-soran-
voice:天蘭-soran-

彼女を譲る気がない幼馴染の双子との添い寝

A:「うわっ…もうこんな時間…。
   そろそろ寝るか」

B:「ほんとだ…。

   片付けはいいよ。
   明日起きてからやるし」

A:「…いつまでもソファーに座ってないで、ついて来いよ。
   ベッド、こっちだから…って…。

   …はぁ!?

   バーカ!
   客をソファーに寝かせて、自分たちだけベッドで寝れるかっての!」

B:「そうだよ。
   君はお客さんなんだから、こんなとこで寝かさないよ」

A:「たしかに、さっき話の流れで来客用の布団はないって言った。

   でも、だからって、ここで寝ていい理由にはなんないだろ」

B:「そう。そう。
   僕らのベッドの好きな方で寝ていいよ。

   とはいえ、どっちも同じメーカーの同じ大きさのベッドなんだけど…」

A:「お前が俺のマネしたんだよな」

B:「違うしっ!
   ずっと前から気になってたヤツがたまたま同じだったってだけじゃん。

   ってか、どっちかっていうと、そっちがマネしたんでしょ。

   ねぇ。
   僕のベッドにおいでよ。

   大きいから二人で寝ても、ゆったり寝られるよ?」

A:「そっちじゃなくて、俺のベッドに来いよ。

   コイツ、大人になった今でも(寝相ねぞう)悪いから、寝てる間にケガするぞ?」

B:「ちょっと待ってよ。
   (寝相ねぞう)とか、今は関係ないでしょ?

   先に誘ったのは僕なんだから、邪魔しないで」

A:「関係ありまくりだろ。
   下手したら、コイツがケガするかもしんないのに…。
   そんな危ないとこで寝かせられるか。

   それに、先とか後とかの方が関係なくない?
   決めるのは俺らじゃないんだし」

B:「関係ある!
   いっつもそうやって後から口出しして僕から何でもかんでも奪ってく…」

A:「じゃぁ、ここは公平にじゃんけんでもするか?」

B:「のぞむところ」

A:「最初はグー、な?」

B:「OK…」

A:「(同時に)最初はグー!じゃんけんぽんっ!」
B:「(同時に)最初はグー!じゃんけんぽんっ!」

B:「よしっ!
   僕の勝ち!

   こういう時勝っちゃうのって、やっぱ日頃の行いがいいからなんだろうなぁ」

A:「(舌打ち)チッ…クソっ…。

   仕方ない…。

   ほら。
   ボケッとすんな。
   首に腕回せ。

   行くぞ?」

(彼女をお姫様抱っこする)

A:「軽っ!?
   お前、ちゃんと飯食ってる?」

B:「あっ!ズルい!」

A:「お前のベッドで寝るんだから、連れてくくらい俺がやったっていいだろ」

B:「僕が連れてくはずだったのに…」

A:「うーわっ…下心見え見え…。

   気をつけろ。
   コイツ、無害そうな顔してんじゃん?
   でも、お前のこと、油断させてパクッと食べるつもりだから。
   羊の皮を(かぶ)った狼ってこういうヤツのこと。
   ちゃんと覚えとけよ?」

B:「何なの?
   ちょいちょいトゲのある言い方してきて…。

   言っとくけど、お互い様だからね?

   さっき『ベッド、こっち…』とか言って、さりげなく自分の部屋に誘い込もうとしてたくせに…」

A:「さぁ?
   なんのことやら?」

B:「とぼけないでよね。
   ほんとに、もう…」

A:「…ごめんな…。
   『決めるのは俺らじゃない』とか言っておきながら、俺らで決めて…。

   こうでもしないと、ケンカになってたからさ…。

   ん。
   到着」

(彼女をベッドに下ろして布団をかける)

(A、Bもベッドに入る)

A:「『何してるの?』って寝ようとしてるだけだけど?

   せっかく3人でいるんだし、一緒に寝てもよくない?」

B:「よくない!
   自分のベッドがあるんだし、そっちで寝なよ」

A:「ヤダね。
   俺も一緒に寝る」

B:「……マジで、お邪魔虫…」

A:「お前もな」

B:「…どうしたの?
   ニコニコして…」

A:「あぁ、確かに。
   子供の頃はよく3人で寝たよな」

B:「そうだね。

   君は、こうして……僕と手を繋がないと寝れなかったよね…」

A:「どさくさに紛れて、手繋いでんなよ」

B:「手繋いだだけで、ガミガミ言うなんて器の小さい男…。

   ん?
   いいじゃん。
   手繋いでたって。

   今日くらいは、子供の頃みたいに寝るのも悪くないでしょ。
   久しぶりに一緒に寝るんだし」

A:「お前ほど小さくないっつーの。

   ってか、子供の頃といえば、俺ら史上最悪なケンカしたよなぁ。
   どっちの嫁にするか、って…」

B:「あぁー、あったね。
   そんなことも」

A:「あの時、決着ってついたんだっけ?」

B:「いや、引き分けだったんじゃない?」

A:「ケンカしたことは覚えてるけど、それ以外は全然なんだよなぁ…」

B:「(笑いながら)分かる」

A:「後にも先にも、あれほどのケンカはなかったよな」

B:「うん。

   子供の頃に、君のことをどっちのお嫁さんにするかってガチのケンカしたことがあってね。
   その現場を親に見つかって、こっぴどく叱られたんだ。
   でも、お互い納得できてなくて、二週間くらい目も合わさなければ、口も聞かなかったんだよね」

A:「あの時、仲直りしなかったよな?
   気付いたら、いつも通りだったし」

B:「そうだったと思う」

A:「ある意味、俺たちを一歩大人にしたケンカではあったな。

   とはいえ、いまだに全然成長できてないとこもあるけど…」

B:「…だね。
   大人になったようで、子供のまま…」

A:「さぁ?
   どういうことだろうな?」

B:「聞きたいなら、今はちゃんと寝ようね?
   明日起きてから、全部教えてあげるから」

A:「ほんと。ほんと。

   俺たちが嘘ついたことがあったか?

   だろ?
   いじわるすることはあっても、嘘つくことはない」

B:「明日のお楽しみ、ね?」

(A、B同時に彼女のほっぺにキス)

A:「(同時に)おやすみ。いい夢見ろよ」
B:「(同時に)おやすみ。いい夢見てね」