星埜光希(ホシノ ミツキ)
voice:星埜光希(ホシノ ミツキ)

久しぶりのお泊まりでパジャマを忘れてしまったら…

(お風呂が沸く)

A:風呂沸いたから、先入ってこい。
  一緒にいたいからってパパッと出てくんなよ?

B:分かってるよ。
  そんな子供みたいなことしないもん。

A:どうだか…。

B: ……あ゛っ…やっちゃった…。

A:どうした?

B:パジャマ持ってくるの忘れた…。

A:最近、お前が気に入ってるモコモコのやつ?

B:そう、それ。
  マジ最悪…。

A:珍しいな。
  お前にしては。

B:出かける時にバタバタしちゃったからかも…。

A:バタバタ?

B:うん。
  お泊まりの準備してたら、茶色でテカテカした体を持つ、触覚が長いアイツが出ち
  ゃって…。

A:茶色でテカテカ……ゴキブリか。

B:その名前を口にしないで!
  大っ嫌いなんだから。

A:(笑いながら)悪い、悪い。
  お前、虫苦手だもんな。

B:虫全般ダメだけど、アイツはほんとにダメ。
  絶滅してほしいくらい、大っ嫌い!

A:雑誌とか丸めて殴りゃ終わりだろ?

B:それができたら苦労しないって…。

  動き早いし、飛んでくるし…。
  仕留めるの、結構難しいんだよ?

A:そうか?

B:そうなの。

  それより、着替えどうしよ…。
  明日の服で寝るのはヤダし、今着てる服で寝るのはもっとヤダし…。
  まだ開いてる店ってあるかな…?

A:だったら、俺の服やるよ。

B:えっ!?
  ほんとにっ!?

A:ほんと。

  この間服買ったんだけど、(仕舞しま)うとこなくてさ…。
  着なくなった服とか全部処分しようと思ってたんだわ。

B:そうなんだ…。
  だったら、遠慮なくいただきます。

A:ちょっと待ってろ…。

  (ガサゴソ探しながらっぽく)えっと…とりあえず、これだろ…。
  こっちのは…この間着たけど、もういっか…。

  これはゴミで…。

B:ちょっと待って。
  今の『ゴミ』ってどういうこと?

A:見りゃ分かるだろ?
  このTシャツ。

  (首周くびまわ)りのとこ、洗濯して伸びまくってんだよ。
  さすがにこんなのやれない。

B:ヤダ!
  ちょうだい!

A:ダメだっつってんだろ!

B:じゃぁ、そのTシャツ、ここでの部屋着にする。
  それなら、いいでしょ?

A:部屋着?

B:そ。
  僕が泊まりに来た時の。

A:こんなヨレヨレのTシャツを?

B:うん。
  …ダメ?

A:別にダメじゃないけど…ほんとにいいのか?
  こんなので。

B:うんっ!
  これがいい!

  今着てみてもいい?

A:好きにしろ。

(B、お着換え中)

B:ふふ。
  いい匂い。

A:匂い嗅ぐな。

B:えへへ。
  お揃いの匂いって、ドキドキしちゃうね。

A:お揃いって…。
  洗濯してんだから、同じ匂いになるのは当たり前だっつーの。

B:それがいいって言ってんじゃん。

  あぁ…やっぱ大きいね。
  女の子のワンピースみたい。

  これなら下履かなくてもいけそうかも…。

  …どうかな?

A:…いんじゃね?

B:ねぇ。
  ちゃんとこっち見て言ってよ。

A:それは無理。

B:なんで?

A:…エロすぎるから…。

B:エロい?

A:当たり前だろ。
  彼シャツしてるってだけでも十分すぎるくらいエロいってのに、下履かない宣言さ
  れてみろ。
  我慢大会かっての…。

  襲われないだけ、ありがたく思え。

B:ごめん…。

A:俺の方こそごめん。
  言い方、キツかった。

(Bに背を向ける)

  ほら。
  さっさと風呂行ってこい。
  お前が風呂行ってる間に着なくなった服出しとくから。
  な?

B:(Aに後ろから抱きついて)…我慢なんかしなくていいよ?

A:…えっ!?

B:だから、我慢なんかしなくていいって言ってんの。
  久しぶりのお泊まりなのに、我慢なんかされたくない。

  もっといっぱいイチャイチャしたい。
  エッチぃことも……したい…。

  (ちょい拗ねっぽく)誘ってることくらい空気読めば分かるじゃん…バカ…。

A:(欲望むき出しにした感じの溜息)はぁ…。
  久しぶりだから、今日くらいは優しくしてやろうと思ってたのに…。

  今夜は寝かさないからな?
  覚悟しろよ?

B:それ、今夜だけじゃないじゃん。

A:うるせー。

B:お風呂、あとで一緒に入ろうね。

A:ドロドロに溶け合った後にな…。

(濃厚なキス)※キスのままフェードアウトしてください。