A:特売だからって、たくさん買いすぎ。
限度ってもんがあるでしょうが…。
ったく、もう…。
荷物、持つよ。
いいって。
元々荷物持ちでついてきたんだし。
…どうしても持ちたいの?
じゃぁ……こっち持って。
俺が持ってるのよりは、まだ軽いから。
で、
(彼女の手を握る)
久しぶりに手繋いで帰ろ?
(遠くから走ってくる足音)
(息切れ)
B:やっと見つけた…。
今までどこ行ってたの?
まぁ、いいや。
話は帰ってゆっくり聞かせてもらうとして…帰るよ?
僕たちの家に。
A:ちょっと…。
彼女を
(彼女に向かって)ねぇ……この人、誰?
君のこと知ってるみたいだけど…。
B:あぁ……この子の友達?
迷惑かけて、すみませんでした。
お礼は今度させてもらうので、今日はこのまま連れて帰りますね。
だから、あなたが繋いでる手、離してもらっていいですか?
(彼女に向かって)手に持ってる荷物、お友達に渡して帰るよ。
A:友達…?
違いますけど。
俺は彼氏。
アンタこそ、何?
いきなり彼女のこと連れて行こうとして…。
B:彼氏…?
おかしなこと言わないでくださいよ。
この子の彼氏は僕です。
A:彼氏…ってことは、彼女の体を傷つけた張本人?
B:傷?
…あぁ…アレ、ね。
し・つ・け。
この子、たまに僕の言うこと聞いてくれないので、体に教え込むんです。
A:
あれが
どう見ても、あれは
あんなの、ただの暴力でしかない。
あの時の傷、今も残ってるんだからな。
B:あれ?
でも、おかしいな?
体は誰にも見せないようにって
(彼女に対して)…この人に見せたの?君の体。
A:近づくな。
(彼女を引っ張って、Bから彼女を引き離す)
(彼女に対して)俺の後ろに隠れてて。
俺が彼女に「見せて」ってお願いしたんだよ。
B:それって、無理矢理だったんじゃないですか?
僕が
いはずだし…。
結局、優しいように見せかけてるだけで、あなたも僕と同罪ですね。
A:俺がアンタと同罪?
B:そうでしょう?
彼女の意志を無視したんですから。
A:「お願いした」って言ったの。
日本語、分かる?
彼女を見つけた時、明らかに様子がおかしくて、目元と口元にでかいアザがあると
なれば、考えつくのはDVしかない。
警察に行こうとしても、ヤダって言うし…。
それなら、ある程度事情知っておかないと、このあとの対応もできないからって見
せてもらったんだよ。
B:事情を知るために服を脱がすっていうのは、どうかと思いますけどね…。
A:アンタには言われたくないね。
B:えぇー!?
ひどいなぁ…。
僕はただ彼女と
それだけのに、勝手に彼女が出て行っちゃって…。
ほら。
いつまでもこの人の背中に隠れてないで帰ろうよ。
A:だから、近づくなって言ってんだろ!
(彼女に向かって)先帰ってて。
顔色悪いし、体震えてる。
コイツに会いたくなかったって言わなくても分かるから。
家に着いたら鍵かけるんだよ。
誰が来ても開けちゃダメ。
それが俺でもね。
いい?
ほら。
行って。
(彼女が帰ろうとする)
(Bが彼女の手を捕まえる)
B:…捕まえた。
A:おい!
離せよ!
B:イヤ。
ってか、あなたに指図される
そんな
取って
ちょっと話したいだけ。
あのね、君が出て行ってから、僕、反省したんだ。
一緒にいた頃、いろいろやりすぎだったって。
君の心にも体にも一生消えない傷を付けたのは僕。
だから、僕の一生をかけて
2度と前みたいなことはしないって誓う。
…お願い。
僕にチャンスをくれないかな?
A:聞かなくていいよ。
今はこんなこと言ってるけど、家に帰って2人きりになったら、どうなるか目に見
えてる。
俺に出会う前の状態に戻るだけ。
いや……それ以上に
なんたって、君はコイツの元から1度逃げてるんだから。
あらゆる手段を使って逃げないようにしてくるに違いない。
B:君が信じられないって言うなら、誓約書でもなんでも書くよ。
それで君の気持ちが楽になるならね。
だから、僕の元に戻ってきてよ。
A:絶対に信じちゃダメ。
こんなの、DVするヤツの手口だよ。
B:うるさい人ですね…。
いい加減にしてください。
僕はこの子と話してるんですから。
A:いい加減にするのはそっちの方。
諦めて1人でさっさと帰れば?
B:それは無理な話ですね。
僕は彼女を連れて帰るつもりで来たので。
あなたこそ、その手を離して1人で帰ればいいでしょう?
A:バカ言うなよ。
自分の彼女を他の男にホイホイ渡すわけないだろ。
B:では、彼女自身に決めてもらいましょうか?
お互いそれなら文句ナシでしょ?
A:あぁ。
彼女がお前を選ぶことは絶対ないからな。
B:……というわけで君の意志を聞かせて?
A:俺を選ぶか、コイツを選ぶか…。
A:(2人同時に)君はどっちを選ぶ?
B:(2人同時に)君はどっちを選ぶ?