【女性向け】三日月【ASMR】
voice:【女性向け】三日月【ASMR】
紫ノ山アイト Aito Ch.
voice:紫ノ山アイト Aito Ch.
雨月ミツル
voice:雨月ミツル
柊一夏
voice:柊一夏

両片思いの終わりは両想いの始まり

ごめんね。
呼び出したりなんかして…。
来てくれて、ありがと。

あの……これ、渡したくて…。

そう。
バレンタインのお返し。

うん、いいよ。
開けてみて。

ありきたりな物なんだけど……キャンディーの詰め合わせ。
ここのキャンディーおいしくて、俺のおすすめなんだ。

俺の好きな味?
この中だと…これ。
りんご味。

(笑いながら)もう食べるの?
食いしん坊なんだから。

(彼女が飴を食べる)

どう?
おいしい?

よかった。
気に入ってくれて。

実は、これだけじゃなくて…。
もう1つあるんだ。
…お返し…。

どっちかっていうと、こっちの方がメインって感じで…。

……どうぞお納めください…。

いや、なんか急に緊張したら、敬語になってた…。

恥ずかしいから、今の忘れて!

ん?
うん。
それ、ハーバリウムって言うの?
お店の人に教えてもらった。
普通の花より長持ちするんだって。

ほんとは(生花せいか)で…と思ったんだけど、すぐ枯れちゃうじゃん。
だったら枯れにくい方がいいかなぁって思ってね。

赤いバラ。
君に似合うと思ったんだ。

…そして、俺の思いそのもの…。

君が好きです。
俺と付き合ってください。

って、いきなり言われても困るよね。
俺も同じ立場だったら、困ってると思うし。

最初は一目惚れだった。
「かわいい子だなぁ」って。
それからは、ずっと君ばかり目で追ってた。

…なんか、今のだと「ストーカーしてた」みたいな言い方だよね…。
実際、そんなことしてないからね。
ただ、話すきっかけを(うかが)ってただけ…。

君をこっそり見てる日が続いてたある日、突然チャンスがやって来たんだ。
少し前に、俺が困ってた時あったじゃん。
誰も助けてくれなかったのに、君だけが助けてくれて…。

あの時、めちゃくちゃ舞い上がってた。
正直、困ってたことなんかどうでもよくなるくらいには…。
それくらい君と話せたことが嬉しかった。

あの一件以来話すようになって、どんどん好きの気持ちが大きくなって…。
バレンタインでチョコを貰えた時に、これはチャンスだと思ったんだ。
自分の気持ちを伝えるのはここしかないって。

受け入れてもらえるとは思ってない。
当たって砕ける覚悟はしてきたから。
返事は今すぐじゃなくていいよ。
いつか、もらえると嬉しい…。

これだけ言いたくて…。
じゃ、また…。

えっ!?
もう返事!?
ちょっと待って。

いや、だってさ……覚悟してきたとは言っても、今すぐ返事もらえると思わないじゃん。

(深呼吸する)

…聞かせて。
返事。

……『俺のことが好き』?
それ、マジ?

だって、話したのなんて、ついこの間が初めてだったんだよ?
俺のこと、ほとんど知らないんじゃ…。

ふふ。
君も俺のことずっと見ててくれたんだ。
なんだか、俺たち似た者同士だね。

じゃぁ、もう1回改めて言わせて。

俺と付き合ってくれる?

(彼女を抱きしめる)

……ありがと。
受け入れてくれて。

あっ!
ごめん。
いきなり抱きしめて…。
嬉しくて、つい…。

……帰ろっか。
送ってく。

せっかくだから、手繋いでもいい?

もうこの手は何があっても離さないから。
俺が守るよ。
永遠に。