自分のことを雑に扱う看護師彼女とそんな彼女に付き添う医者彼氏

【走る足音】

【処置室の扉を勢いよく開ける音】

((以下、彼女を担当してくれた看護師との会話))

(息を切らせながら)目、()ましました?

まだ寝てましたか…。

あぁ…ごめんなさい。
つい、(あせ)ってしまって…。
以後、廊下は走らないように気を付けます。

えぇー!?
バラさないでくださいよ。
お願いしますっ!
俺がここまで走ってきたこと、他の人には内緒にしててください。
今度君の好きなお菓子買ってきますから。
ね?

ふふ。
ありがとうございます。
あとのことは俺に(まか)せて、君はもう業務に戻っていいですよ。

俺の彼女がお世話になりました。

((彼女を担当した看護師との会話終了))

【処置室の扉の開閉音】

あっ、気が付いた?
気分、どう?

『なんともない』って、ほんと?
我慢してない?

…そっか。
よかったぁ…。

普段元気いっぱいな君が倒れたって聞いて、めちゃくちゃ焦ったんだからね。
ここまで走ってきて、さっき怒られたし…。

それで、いきなり本題なんだけど、最近ご飯ちゃんと食べてなかったでしょ?
正直に答えてごらん。

『食べてた』ね…。
残念ながら、この結果はご飯を食べてたって数値じゃないんだなぁ…。

君が寝てる間に血液検査させてもらったんだけど、ちゃんと栄養が()れてるかっていう項目の数値が低いんだよね。

忙しいを理由にして、ご飯ほとんど食べてなかったんでしょ。
怒らないから、ちゃんと言って。

(溜息)はぁ…。
ったく、もう…。

どうして君はいつもご飯を抜いちゃうかなぁ。
(しょく)に対して関心がなさすぎる。
だから、免疫力が落ちて高熱出すんだよ。

えっ…まさかと思うけど…熱が出てることにも気付いてなかったの!?

ほんとに君って子は…。
仕事も大事かもしれないけど、もっと自分のことを大事にしてっ!
自分を雑に扱いすぎてる。
まぁ、仕事人間の俺が言っても説得力ないけどさ…。

はいはい。
反論はあとでゆっくり聞くとして、今はゆっくり休んでよ。
どうせ、(ろく)に寝てなかったんだろうし…。
帰るまで、あと数時間はかかるからさ。

今は栄養の点滴してるところ。
これが終わったら抗生物質の点滴があるからね。

終わるまでついててあげる。
大丈夫。
君を1人にしないよ。

俺の仕事は、おしまい。
急いで片付けたからね。
しいて言えば、今からは君の面倒を見ることが俺の仕事かな。

点滴終わったら、一緒に俺の家に帰ろ。
で、ご飯食べよ。
点滴したから十分な栄養が()れたってわけじゃないからね。
あくまで点滴は一時しのぎなんだから。
ちゃんと口から栄養()らなきゃダメ。

普段からほとんど食べてないし、今は調子も悪いから、今日は消化のいいものにしよっか。
そうだな……(雑炊ぞうすい)とかどう?

ん。決まりね。

料理?
もちろんできるよ。
これでも1人暮らし長いんだから、ある程度のことは1人でできるけど…。

もしかして、何もできないと思ってたとか?
うわっ…ひど…。
どれだけ俺の料理がうまいか、帰ったらびっくりさせてあげる。
期待してて。

ふふ。
顔色、少しよくなってきたね。
ちょっと安心した…。

じゃぁ、俺も着替えてくるね。
点滴終わるまで時間かかるから、ひと(ねむ)りしてて。
着替えたらすぐ戻ってくるから。

今はゆっくり休んで。
おやすみ。