(彼女、一人残業している)
(キーボードを打つ音)
(彼氏、登場)
お疲れ様。
(彼女、キーボードを打つ手をとめる)
何?
そのオバケを見るような目は…。
君が残業してるから心配になって、外回りから直帰予定だったけど様子見に戻ってきたんだよ?
はい、これ。
差し入れ。
どうせ、休憩も取らずにずっと作業してたんでしょ?
残業するなとは言わないけど、休憩くらい取らないと…。
君の好きなものたくさん買ってきたから、ちょっとだけ休憩しよ?
(彼女、袋の中から物を取り出す → 休憩する)
ここんとこ毎日残業してるけど、大丈夫?
手伝えること、ない?
えぇー!?
ないのー!?
少しくらいはあるでしょ?
ちょっとした入力とか…。
それもないの?
これっぽっちも?
(いじけて)ふぅーん。あっそ…。
手伝いさせてほしいって言ってるのに拒否られれば、誰だっていじけるよ…。
相手が彼女なら、尚更…。
彼氏としては、ちょっとくらいかっこいいとこ見せたいじゃん。
…じゃぁさ、手伝わない代わりに終わるまで隣にいてもいい?
君が作業してるとこ、見てたい。
(彼女、OKする)
(彼氏、隣の席の椅子に座る)
(彼女、キーボードを打ち始める)※以下、キーボードを打ち続けてください。
そういえば、新しいスイーツのお店がオープンした話、知ってる?
会社の近くに、最近オープンしたらしいよ。
で、行った子から聞いたんだけど、ケーキがすんごいおいしいんだって。
今度行ってみない?
そ。
仕事終わりに。
もちろん、定時であがってね。
ご飯前だけど、たまにはいいんじゃない?
疲れた体に甘い物が染み渡る、あの感覚…。
嫌いじゃないでしょ?
(強制的に)はい!
決まりっ!
いつ行こっか?
はぁ!?
1ヶ月後とか忘れてる可能性あるじゃん。
そんなの、ダメ。
んー……だったら、明日行こ。
思い立ったが
仕事ぉー?
急ぎの案件もないのに?
ちゃんと知ってるよ。
今やってる作業だって、残業しなくたっていいはずなのもね。
部下の仕事を把握するのも、上に立つ者の仕事だもん。
(彼女、納得してない様子)
……たまには、自分を甘やかしてもいいんじゃない?
いつもがんばってばっかじゃ息が詰まっちゃうよ?
ね?
行こ?
(彼女、キーボードを打つ手をとめる)
(彼女、彼氏に残業の邪魔をされて怒る)
ん?
邪魔なんかしてないよ。
邪魔だと思うなら聞き流してればいいし、そもそも聞かなきゃいいだけじゃん?
そうでしょ?
ってか、いつまで残業するつもり?
やらなくていい残業なんかやめて、さっさと帰ろうよ。
で、イチャイチャしよ?
じゃないと、君が作業を終えるまでずっとこうしてやる。
ずっとイチャイチャできてないんだよ?
俺の毎日の楽しみが奪われてるのに、黙ってられない。
君が『帰る』って言うまで続けるつもり。
うん。
本気。
この目が嘘言ってるように見える?
(彼女、観念して『帰る』と言う)
ふふ。
やったー。
ほら。
データ保存して、パソコンの電源落として。
(彼女、パソコンを落として帰り支度をする)
仕事を優先するのはいいけど、もう少しプライベートの時間を大事にしなさい。
いいね?
んー……これは、上司命令というより彼氏からのお願いかな。
あんまり構ってくれないのは、さすがに寂しいもん…。
(耳元で言い聞かせる感じで)今後は同じことを繰り返さないように。
もし繰り返すようなことがあったら、どうなるか……分かるよね?