(玄関のチャイム音)
(玄関を開ける音)
いらっしゃーい。
入って。入って。
(玄関が閉まる音)
外、寒かったでしょ?
すぐあったかい物出すわね。
紅茶かココアかコーヒー、どれがいいかしら?
了解。
ソファーに座って待ってて。
(彼女:リビング、彼:キッチンで少し距離ある)
ごめんなさいね。
いきなり予定変更しちゃって…。
今日は今年一番の寒さだって聞いて、「こんな日は家でぬくぬくしながらまったり過ごすのもありじゃない?」って思ってね。
久しぶりのお家デート、のんびり楽しみましょ。
(彼、ソファーにやって来る)
お待たせ。
はい、どうぞ。
熱々だから、舌ヤケドしないように気を付けてね。
……あら?
どうしたの?そのリップ。
いつもと色が違うじゃない。
そりゃ気付くわよ。
これで気付かないって言ったら、鈍感って言うレベルを超えてるわ。
で、その色、自分で買ったの?
プレゼント…?
誰から?
どうして教えてくれないの?
後ろめたいことがないなら教えてくれてもいいんじゃない?
……男…なの?
そのリップくれたの。
もしかして、その男のことが好き、とか?
違うなら、なんで今日付けてきたの?
見せつけるようなことして…。
ふぅーん。
そういう気分だったの…。
(彼がカップをテーブルの上に置く)
カップ、テーブルの上に置いて、こっち向いてくれない?
(彼女がテーブルにカップを置いて、彼に向き直る)
残念だけど、その色、全然
リップだけが浮いて見えて、ダサくなってる。
今すぐ落としなさい。
いいから、落としなさい!
(雄っぽさを出して)さっさと落とせっつってんのよ!
(強引なキス)
うるさい。
黙って。
(濃厚なキス)※ 長めにお願いします。
…取れた…。
(我に返って)ごめんなさい。
強引にリップ取ったりして…。
今から言うのは言い訳でしかないけど、言わせて。
今言わないと、これからずっとモヤモヤした気持ちを引きずることになりそうだから…。
あのリップ、どうしてもアタシの中で許せなかったの…。
今までアタシが勧めても拒否ったのはどうでもいいの。
そこは好みの問題もあるし、冒険するのが怖いっていう保守的な
ただ、『男から貰った』ってことが無理だった。
男がリップを女性に贈る意味は『キスがしたい』。
その意味を知ってて受け取った……わけじゃないわよね。
あのリップを贈った男は、きっと
告られたら、きちんとお断りすること。
ズバッと、切り捨ててやりなさい。
そうでもしないと、この手を使うヤツは諦めが悪いから…。
いい?
もし、断ってストーカーされるようなことがあったら、遠慮なく言って。
全力で
今でこそこんなオネエだけど、昔はそれなりにケンカが強かったのよ?
地元じゃそこそこ有名で……って、この話は置いといて…。
絶対にアタシの元から離れない?
約束してくれる?
約束ついでに、ひとつお願いしてもいいかしら?
まだ不安でいっぱいのおバカなアタシを安心させてくれない?
…
(彼女から触れるだけのキス)
ん。
ありがと。
リップ、取っちゃったし、塗り直さないといけないわね。
少し目を閉じててもらってもいい?
すぐ終わるわ。
でも、アタシが「いい」って言うまで目は閉じたままよ?
(少しだけ間を開ける)
目を開けてもいいわよ。
はい、鏡。
アタシからのプレゼント。
別に記念日とかではないわよ。
ただアタシがプレゼントしたかっただけ。
このリップね、アタシが使ってるブランドの新作の色なの。
ひと目見た時から
だから、プレゼントすることにしたの。
どうかしら?
あたしに気を
…ふふ。
でしょ?
……ねぇ。
せっかくリップを付けたけど、キスしてもいいかしら?
もう我慢の限界なの…。
また塗ってあげるから、許して…。
(濃厚なキス)※ キスしたままフェードアウトしてください。