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かい
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嫉妬のはじまりは、ただの勘違い

【鍵の解錠音】

【玄関扉の開閉音】

やっと着いた…。
とりあえず、寝っ(ころ)がして…っと…。

(溜息)ふぅ…。
マジで重かった…。

人の()も知らないで、気持ちよさそうに寝やがって…。
ムカつくなぁ…。

(彼女のほっぺを叩きながら)ねぇ。
起きて。
家着いたよ。
靴脱いで、ベッド行こ?

『う゛ーん』じゃないっての。
ほんとに…。

こうなるって分かってたから、飲みすぎるなって言ったのに…。

靴脱がすよ?
いいね?

こんな時に限ってスニーカーか…。
あ゛ぁ゛ー、もうっ!
(ほど)くの、めんどくさい。

…よし、脱げた。

靴脱がしたから、ベッド行くよ。

(玄関から寝室へ移動)

(彼女をベッドに寝かす)

はぁ……疲れた…。

(彼女の匂いを嗅ぐ)

…やっぱり男の匂いがする。
さすがに風呂に入れるのはマズいよな?
俺の香水でも付けて、匂いを上書きするか…?

うぉっ!?
びっくりしたぁ…。

寝てたんじゃないの?

起きてたなら、自分で歩いてよ。
お店から家まで、ずっと抱えてきた俺の身にもなって。
すっごく重かったんだからね。

(たい)してお酒強くもないのに、なんであんな無茶な飲み方したの?

『言わない』じゃないでしょ。
言って。

どんな理由でも、怒らないから。

うん。
ほんと。
約束するから。

(相槌数回打つ)

いやいや。
女の子に囲まれてたって、いつのこと言ってるの?
全然そんな事実なかったって。

最初?
あれは皆のオーダー、まとめて取ってくれてたんじゃん。

一緒にメニュー見てた?
俺が?

いや、いや。
ない!
絶対ない!

そんな近くに女の子いたら気づくし、さり気なく距離取るって。

うん。
ほんと。
今までだってそうしてきたの、知ってるでしょ?

……もしかして、勘違いして嫉妬してたの?
嫉妬しちゃうくらい、俺のこと好き?

ねーえ!
答えてよ。

……めちゃくちゃかわいいんだけど…。

ん?
俺?
俺も君のこと大好きだよ。

…大好きだから嫉妬してた。

何度も止めたのに、()びるように飲んで、周りの男に絡んで…。
俺が隣にいなくても、君は楽しそうに笑ってた…。

「なんで君の隣にいるのが俺じゃないの?」とか「俺なんかどうでもいいの?」とか、感情がグチャグチャになって…爆発しそうだった。

今日みたいな()てつけは、もうやめて。
嫌いになったら、『嫌い』って言って。
その時はきっぱり君のこと諦めるから。
…お願い。

そんな日が来ないって分かってるけど、一応ね…。
それだけ、俺もつらかったってこと。

…分かってくれた?

ん。
俺もごめん。
気づかなかったとはいえ、君が不安に思うようなことしてたから。
これからはもっと気をつけるようにする。

…じゃぁ、仲直りのチューしよ。
それで、この話はおしまい。
ね?

(触れるだけのリップ音)

相当飲んだから眠い?
目がトロンとしてる。

俺も久しぶりに飲み会に行ったから疲れた…。
人とか空気とかに酔ったのかも…。

ちょっと奥寄って。
一緒に寝よ。

いいじゃん。
狭いけど、くっついたら寝れなくないんだし。

たまにはくっついて寝るのも、アリじゃない?
ね?

(彼女のベッドに潜り込む)

……やっぱ狭いね。
でも、ちょっと幸せ。

君をこんなに近くに感じれるから。

明日起きたら一緒にお風呂入ろうね。
全身綺麗に洗ってあげる。

ダーメ。
君の体から俺じゃない男の匂いがするんだもん。
すっごくイヤ。
俺がこの手で綺麗にしたいの。
君を独占できるのは俺だけなんだから。

はい、はい。
文句は明日聞いてあげる。
いい子だから今は寝ようね。

ん。
おやすみ。