泥酔した先輩をお持ち帰りして一晩世話をした後輩

あっ…。
目、覚めました?

おはようございます。

ここ?
ここは俺の家です。

それより、二日酔いどうですか?
昨日相当飲んでましたけど…。

分かりました。
ちょっと待っててください。
今、水と薬、持ってきますね。

(少し間を開ける)

お待たせしました。
どうぞ。

聞きたいこと?
俺が答えられることなら、いいですよ。

『昨日、何もなかったか』ですか?

…うーん。
そうですねぇ…。

あったと言えばあったし、なかったと言えばなかったですね。

もしかして、今の状況、全然覚えてないから不安に思ってます?

(溜息)…はぁ…。
やっぱり…。

先輩が下着姿なのは、自分で脱いだんですよ。
嘘じゃないですって。
証拠も一応ありますから。

(スマホを操作しながら)昨日の先輩、明らかに飲みすぎでしたよ。
皆にのせられて、”酒豪No.1決定戦”でしたっけ?
誰が1番強いか、って飲みだして…。
そんなのやる前からベロベロだったくせに、『このままじゃ負けちゃう!』とか言い出して一気飲みしちゃうし…。

はい、どうぞ。
この動画が証拠です。
再生しますよ?

飲み会終わって、先輩を家に送ろうとしたんですけど、家の住所何度聞いても、ちゃんと答えてくれなくて…。
さすがに(道端みちばた)にほったらかしにするわけにもいかないので、俺の家に連れてきたんです。

やっとの思いで連れてきて、ベッドに寝かせたまではよかったんですけど…。
ここで、とある問題にぶつかりまして…。

…スーツです。

さすがに脱がさないと(しわ)になるし、だからと言って、好きな人の服を脱がして平気でいられる自信なかったんで、悪いと思いつつ、そのままベッドに寝かせておいたんです。
そしたら、いきなり起きて、『暑いっ!』って怒り出して、動画のように自分で脱ぎ散らかし始めたんです。
念のために言っておきますけど、俺は何度も止めましたからね。

それで、全部脱いで満足したのか、電池が切れたみたいにまた深い眠りについた、というわけです。

この動画に関しては、朝になって絶対聞かれると思ったので撮影させてもらいました。

以上が(こと)(顛末てんまつ)です。
理解していただけましたか?

いえいえ。
迷惑なんて、とんでもない。
(役得やくとく)でしたよ。

ベロベロに酔った先輩を誰も世話しないから、誰にも邪魔されることなく、ずっと俺が世話させてもらえたし。
先輩の下着姿も見れましたし。

酔った先輩はとにかくかわいかったです。
甘えんぼさんで、トイレに行くために離れようとしたら『行かないで』って上目遣いでお願いしてきて…。

痛っ!
殴ることないじゃないですか。

…イヤですよ。
昨日の先輩の全部を忘れるなんて。
(一晩ひとばん)世話した報酬だと思って、記憶と心のアルバムに刻ませてもらいます。

…ほんとに何もしてませんよ。

酔ってる先輩を前にして、全然襲いたくなかったかと言われたら、嘘になります。
正直、ちょっとくらい触っても…って思いました。
でも、ベッドに寝かせてからは、指1本先輩に触れてないです。

だって、朝起きて、記憶がなかったら意味ないでしょ。
1人よがりでいい思いしたって、ただ(むな)しいだけじゃないですか。
そんなの俺イヤですもん。

ちゃんと先輩が俺のこと好きになってくれるまで待ちます。
それまで、今まで以上にグイグイ押していくんで、よろしくお願いしますね。

まぁ、話はこれくらいにして、とりあえず服着てください。
さすがにこれ以上下着姿のままでいられると俺の理性も吹き飛びそうなんで…。

なっ!?
バカなこと言ってないでさっさと服着てくださいってばっ!!

…あんまり調子に乗ってると、マジで襲いますからね。