(背伸びしてる感じで)ん゛ん゛…。
疲れたぁ…。
うわっ…もうこんな時間…。
ゲームに集中しすぎた…。
ねぇ。
冷蔵庫の中、水以外で、なんか飲み物あったっけ?
ちょっと、聞いてる?
俺の話。
(ソファーで横になっている彼女に近づく)
…寝てるの?
ソファーで寝てたら風邪ひくよ?
あっ、起きてたんだ。
起きてたなら、答えてよ。
シカトしないでさ…。
…どうしたの?
調子悪いの?
『おなか痛い』?
(小声で)あっ…あの日か…。
【スマホをタップする音】
ん。
…分かった。
えっと……まずは…エアコンっと。
【エアコンを切る音】
それから…。
(ソファーから離れて寝室へ向かう)
(寝室からソファーの彼女の元へ戻る)
ほら、タオルケット。
体に
体冷えてるんじゃない?
顔、真っ青だよ。
手、出して。
やっぱり…。
氷みたいにキンキンに冷えてる。
どうして、こんなになるまで我慢したの?
女の子の日はいつも以上に体冷やしちゃダメって言ってるよね?
(溜息)はぁ…。
あのさ、確かに俺は暑がりだよ。
クーラーの温度は常に18℃にしてないと暑くてイライラしてきちゃう。
でもね、彼女がつらくて苦しんでる時くらい我慢できるよ?
謝らなくていいよ。
気づいてあげられなかった俺も悪いし…。
その様子だと、薬、まだ飲んでないよね?
軽く食べられそう?
無理、かぁ…。
ほんの少しでいいから食べれないかな?
何も食べずに薬飲むのは胃に負担かかっちゃうよ?
ん?何?
ごめん。
聞き取れなかった。
……『気持ち悪いから無理』?
吐きそうなの?
ちょっ…!!
ちょっと待ってて!!
すぐ袋用意するから。
【バタバタ走る足音】
はい。
袋用意したから、吐きたかったら吐いていいよ。
ヤダじゃないでしょ。
吐いたら少しはスッキリするよ?
(溜息)はぁ…。
何が気に入らなくて我慢してるの?
吐いてるの見られたら、嫌われるとか思ってる?
悪いけど、そんなことで、嫌いになったりしないから。
えぇっ!?
どうしたの?
泣かなくてもいいじゃん。
言い方、ちょっとキツかったかな?
ごめんね。
おいで。
ギューしてあげる。
(彼女を抱きしめる)
お願い。
泣かないで。
大丈夫だよ。
大丈夫。
全然怒ってないから。
うん。
ほんとに怒ってないよ。
【スマホをタップする音】
今日はお腹だけ痛いの?
たまに腰も痛いって言ってるけど…。
腰も痛いんだ…。
じゃぁ、俺が抱きしめてるの、つらくない?
横になった方が楽でしょ?
このままがいいの?
君がいいならいいけど、どうしてもつらくなったら我慢せずに言うこと。
約束だよ?
腰、さすっててあげるね。
【スマホをタップする音】
あっ…ごめん、ごめん。
感じ悪かったよね。
ずっとスマホいじってて…。
でも、まだ全部覚えられてなくて…。
スマホで見てたのは、女の子の日の君の取扱説明書。
どうしてあげたら楽に過ごせるのか、ってメモしてあるんだよ。
たとえば、お腹が痛い時。
まずは掛ける物を持って行く。
夏だったらタオルケット。
冬だったら毛布。
とにかく体を温めることが大事。
夏はクーラーをすぐに切って、冬は湯たんぽを用意することも忘れずに。
腰が痛い時は、満足してくれるまでさすってあげる。
ただひたすらに。
たまにトントン叩いてあげると楽になる時もある。
様子を見て、対応する。
イライラしてる時は、君のスマホを手の届くところに置いておいて、『何かあったら連絡して』って1人にしておく。
変に声かけたり、気
痛み止めの薬は常備しておく。
最近は特に
絶対に薬がないってことがないようにしておく。
…って感じかな。
ほかにも、あるけどね。
どんなにがんばっても、俺は男で、女の子のつらさを理解してあげることはできないから。
少しでも力になれるように、こうやって、メモに残してるんだ。
でも、気持ち悪いってのは今回が初めてだったから、どうしてあげるのが1番いいのか分かんなかった…。
キツい言い方して、ほんとにごめんね。
痛いの落ち着いたら、教えてよ。
気持ち悪い時はどうしたらいいか。
大切な君のことだから、ちゃんと知っておきたい。
…ん。
ありがと。
とりあえず、痛み止め、飲も?
気持ち悪くても、飲まないと、ずっと痛いままだし…。
ね?
ちょっとだけ待ってて。
すぐ戻るから。
(彼女の元から離れて、すぐ戻ってくる)
お待たせ。
冷蔵庫の中からゼリー見つけてきた。
一口でいいから食べて。
はい。
あーん。
気持ち悪いのに、がんばって食べてえらいね。
次は痛み止め飲もうね。
はい、薬と水。
ちゃんとゴックンできた?
じゃぁ、あとは、薬が
なんなら、少し眠っててもいいよ。
痛いの、我慢して疲れたでしょ。
起きたら、楽になってるはずだから。
もう少しだけ、がんばろうね。
痛いの、痛いの、飛んでけー。