ん?どうしたの?
浴衣なんか着て…。
あれ?その浴衣知らないなぁ。
新調したの?
いいね。
キミに似合ってる。
すごくかわいいよ。
嘘じゃないって。
ほんとにかわいいよ。
かわいいキミが、より一層かわいくなってる。
それより、浴衣着て、これからお出かけでもするの?
へぇー。
暗くなるから、気を付けるんだよ。
えっ、俺も一緒に行くの?
どこ行くの?
…花火大会?
花火大会なんか、この近くであったっけ?
あぁ~、キミが毎年楽しみにしてるヤツね。
でも、それって今年は中止になってなかった?
ちょっと待って。
【スマホをタップする音】
ほら、やっぱり中止だよ。
見てみて。
ね?中止って書いてるでしょ?
『ヤダ』って言っても中止なんだから、仕方ないでしょ。
こ~ら、子供みたいに
……じゃぁ、目
キミに見せたいものがあるんだ。
いいから、いいから。
目、
そのまま待っててね。
(少しだけ間を開ける)
目
花火大会の花火にはかなり
絶対『花火大会行く』って言うと思って、ちょっと前から少しずつね。
キミを驚かせようと思ってさ。
びっくりした?
よかった。
あのさ、もうすぐ日も落ちるし、夜になったら近所の公園で花火しない?
この花火全部持って。
せっかくキミがかわいい浴衣着てるんだもん。
何もしないまま脱ぐのは寂しいじゃん?
この浴衣を着た思い出に、俺達だけの小さな小さな花火大会、しよ?
よしっ!
そうと決まれば俺も着替えようかな。
キミに合わせて、俺も浴衣着ようと思ってね。
自分で着付けられるか自信ないけど…。
えっ、着付けてくれるの?
キミ、着付けもできたんだ…。
知らなかった…。
ありがと。
じゃぁ、お願いしようかな。
そうそう。大事な約束を俺から一つだけ。
夜だから、近所迷惑にならないように絶対はしゃがないこと。
キミ、興奮するとすぐはしゃぐから…。
約束できる?
少しでもはしゃいだらすぐ帰るからね?
いい?
ん。いい子。
(耳元で)小さな小さな花火大会、楽しもうね。