(彼女のスマホが鳴る)
(彼女が一人でベッドから抜け出そうとする)
おはよ…。
どこ行くの?
……『仕事』?
あれ?
今日って平日だっけ?
ん゛ん゛…分かんないや…。
曜日感覚ずれちゃってるかも…。
(あくび)ふぁ…。
…さむっ…!
何、これ…。
寒すぎてヤバい…。
昨日の夜の天気予報で、『明日の朝は特に寒くなるので気をつけてください』って言ってたけど、こんなの気をつけるも何もなくない?
布団から出るなってことかな?
そういえば、今何時?
俺も起きる時間?
いつもより一時間早いじゃん。
二度寝しようよ。
ほら。
こっちおいで。
(彼女を強引に布団に入るよう誘う)
まーた『仕事』…。
そんなの、半休取っちゃえばよくない?
有休溜まってるんでしょ?
たまにはダラけないと…。
毎日毎日マジメにあくせく働いたって、なんにもなんないよ。
自分を削ってくだけなんだから。
寝れば肉体的には回復するかもしれないけど、精神的には回復しなくない?
起きた瞬間に『はぁ……今日も仕事か…』って思うでしょ?
それって、精神的な疲れが取れてない証拠なんだよ。
そんな状態で仕事したって、ミスの連発で『もうダメだぁ…』って自己嫌悪するに決まってんじゃん。
なる!
絶対なる!
なんないのに、こんなこと言ったってしょうがないじゃん。
何年君の隣にいると思ってんの?
悪いけど、君自身よりも君のこと知ってるからね?
こういうのは、マジメなヤツほど損して、マジメにやってるように見せてサボってるヤツが得をするんだから。
適度に息抜きしたって、いつもマジメにがんばってるんだし、バチは当たんないって。
それより、いい加減布団の中入ってくんない?
せっかくあったまってた空気が君が起きようとしたせいで逃げちゃった。
布団冷たくなっちゃって、マジ寒くて死にそう…。
ヤダじゃないっての!
(彼女を強引に布団に引きずり込む)
(彼女を抱きしめる)
(溜息)はぁ…。
あったかい…。
ってかさ、ちょっと前まで暑かったのに、急に寒くなるとかヤバくない?
これも一種の地球温暖化のせいなのかな?
過ごしやすい時期って一週間もあるかないかって感じだよね。
ここ最近、ほんと思う。
あったかくなって春が来たなぁと思ったら、すぐ暑くなって夏になるし。
涼しくなってきて秋だぁーって思ったら、今日みたいに急に寒くなって冬になる。
これだけは声を大にして言いたい。
いきなり寒くなるとかマジで反則。
暑くなったり、寒くなったりするのはある程度は仕方ないにしても、ゆっくりジワジワじゃないと体がついてかない…。
若いとか関係なく、無理なものは無理なの!
布団から出なきゃいけない時間になっても、こんなに寒かったら出られるものも出らんない…。
冬本番になったら、どこまで寒くなるんだか…。
考えただけでうんざり…。
人間も冬眠できたらいいのにな…。
そしたら、ずっと君と一緒に布団の中でいられるのに…。
こうやって、ギューってしてさ…。
ん?何?
なんで離してあげなきゃいけないの?
今、俺が君であったまってるとこなの。
完全にあったまってるわけじゃないのに、どっか行こうとするとか、ひどくない?
もし、このまま放置して、風邪でもひいたらどうするの?
面倒見てくれる?
起きた時から、仕事、仕事って……そんなに仕事が大事?
今日一日だけでいいから、俺と一緒にいようよ…。
ベッドでイチャイチャして、ゲームしてイチャイチャして、ご飯食べてイチャイチャして、お風呂入ってイチャイチャしたくない?
…俺はしたい。
ここんとこ全然イチャイチャできてなかったから、精魂尽きるまでいっぱいしたい。
ねぇ。
イチャイチャ、しよ?
(拗ねて)むぅ…。
ケチ…。
もう知らないっ!
(彼女を解放する)
……何?
今のほんと?
ほんとのほんとに定時で帰ってきてくれる?
終業間際に仕事押しつけられても、帰ってきてくれる?
ん。
分かった。
約束ね。
じゃぁ、俺からもひとつ。
帰ってきたら、さっき言ったイチャイチャしたい。
それくらい許してくれるよね?
やった!
今夜が楽しみだなぁ。
いろいろやりたいことがあったから。
別に変なことをしようとか思ってないよ?
定番の目隠しプレイとか、両手両足を拘束してのプレイとか、メイドさんとかの衣装着てのプレイとか、その程度…。
今更ナシにするのはナシ。
それはズルいよ。
後出しじゃんけんじゃん。
怒った顔しても全然怖くないし。
むしろ、俺を煽るだけ。
(触れるだけのキス)
俺だって、今イチャイチャしたいの我慢するんだから、お互い様でしょ?
分かってるって。
記憶が吹っ飛ぶほどはしない。
その代わり、今夜のために今日はあんまりがんばって仕事してこないでね?
約束だよ?