天蘭-soran-
voice:天蘭-soran-
Zakuro
voice:Zakuro
立葵蓮華voice
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小鳥遊きの
voice:小鳥遊きの
ろろ
voice:ろろ

どこまで本気か分からない隣に住んでる小悪魔系男子

(家の中に向かって)急げばいいんでしょ。急げば…。
はいはい。
分かってるって。
行ってきまーす。

…あれ?
姉ちゃん?

久しぶり!
今年の正月以来だね。

いつ帰ってきたの?

そうなんだ。
帰ってきたなら、俺に1番に教えてよね。
姉ちゃんに会えるの、いつも楽しみにしてるんだから。

ん?
あぁ…うん。
お出かけというか、おつかい行くとこだったんだ。
買い忘れた物買ってこいって、母さんに頼まれちゃって…。

いいの。いいの。
最初から急ぐつもりなかったし。

暑いのに、急ぐのってだるくない?
それに、姉ちゃんと話す方がおつかいなんかよりも、ずっと大事だもん。

ねぇ。
いつまでこっちにいるの?

そっか…。
あんまり時間ないんだ…。

…残念…。

だったら、今夜泊まりに来ない?
姉ちゃんがいない間にあったこと、いろいろ話したいんだよね。

全然迷惑じゃないって。
姉ちゃんにとっても悪い話じゃないと思うよ。

だって、今夜のうちの晩ご飯、姉ちゃんの大好物の母さん特製のカレーだもん。

ふふ。
姉ちゃん、分かりやすすぎ。
さっきと今とで、目の輝きが全然違う。

『すごく食べたい!』って目が語ってるよ。

隠さなくったっていいじゃん。
そういう素直なとこ、姉ちゃんのいいとこで、かわいいとこなんだから。

……マジな話さ、姉ちゃんが言いにくいなら、俺からおばさんにお願いするから、うち泊まらない?

ね?
そうしよ?

あっ…今夜、同窓会があるんだ…。
じゃぁ、仕方ないね…。

うぅん。
姉ちゃんが謝ることないよ。
俺が勝手に1人で盛り上がってただけだし…。
ごめんね。
姉ちゃんの予定とか、全然考えなくて…。

昔っから後先考えずに突っ走っちゃうの、ダメだって分かってるのになぁ…。
特に姉ちゃんのことになったら、止まんなくなっちゃう。

……明日?

特に予定ないよ?
バイトもないし、1日中動画見たり、ゲームしたりして、ゴロゴロ過ごす予定だったけど…。

えっ!?
遊べるの!?

でも、いいの?
姉ちゃんにも予定あるんじゃない?
女子会とか、デートとか…。

嘘だぁー!
女子会はまだしも、デートの予定がないとか絶対嘘。
俺を(だま)そうとしても無駄だよ。
姉ちゃんほどの人が彼氏いないわけないじゃん。

……ほんと、なの…?

信じらんない…。

だって、姉ちゃんだよ?
こんなにかわいくて、綺麗なのに…。

言っとくけど、『身内だから』とか関係ないからね。
子供の頃からずっと思ってた。

今だから言うけど、姉ちゃんのことでケンカしたこともあるんだよ?

小学生の頃に、泥だらけでボロボロになって帰ってきたことあったじゃん?
あの時が、そう。

姉ちゃんのクラスメイトの男子が姉ちゃんに意地悪するって話聞いちゃって、「姉ちゃんをいじめ
るなー!」って…。
体格差がありすぎて、一方的にやられただけになったけど…。

今考えれば、あの時の男子って姉ちゃんのことが好きだったのかもね。
男って、好きな子ほどいじめたくなるからさ…。

俺?
俺は……どうだろうね?

見てれば分かるんじゃない?

それはそうと、姉ちゃん同窓会行く準備しなくていいの?
着替えとかメイク直しとかするんでしょ?

ごめんね。
俺が話しかけちゃって、姉ちゃんの大事な時間取っちゃって…。

服、もし着替えるなら、もう少し肌の露出抑えた服にして?
今の服は姉ちゃんに似合っててすっごくかわいいけど、肌見せすぎ。
暑いのは分かるけど、あまりに無防備。
こんなの『どうぞ襲ってください』って言ってるようなもんだよ。

このまま同窓会に行ったら、いい感じに空気に流されちゃって、姉ちゃんの思ってるよりたくさん
お酒飲まされた挙げ句、お持ち帰りされて、翌朝知らないベッドの上…なんてことになっちゃうっ
て。

言いすぎでも、過保護でもないよ。
これは事実なんだから。

俺がこんなに言っても信じてくれないんだ…。
姉ちゃんの考えは、よーく分かった。

ねぇ。
なんで後ずさりするの?
姉ちゃんに近づこうとしてるだけなのに…。

別に怒ってないよ?
俺の思いを理解してくれない姉ちゃんを残念に思ってるだけ。

……捕まえた。

姉ちゃん、ちっちゃ!
こんなにちっちゃかったっけ?

俺がデカくなりすぎただけ?
でも、そんなに背伸びなかったよ?
姉ちゃんが縮んだんじゃない?

しかも、痩せすぎ。
こんなんじゃ、すぐ倒れちゃう。
もっとしっかり食べなきゃ。

ヤダ。
姉ちゃんの体堪能してるとこなんだから、邪魔しないで。

イヤなら姉ちゃんが自力で俺の腕から抜け出してみなよ。
「できるもんなら、やってみな」ってね。

俺ですら、シラフの姉ちゃんとの力の差がこれだけあるんだよ?
酔った状態の抵抗なんて、抵抗してないのと同じなんだからね。

分かった?

じゃぁ、同窓会行く準備できたら連絡ちょうだい。

送ってく。
ちょっとの時間も無駄にしたくないもん。

勝手に行ったら許さないからね?

(ほっぺにキス)

もし、勝手に行ったら次はコッチにするから。

じゃ、またあとでね。