さとうしお
voice:さとうしお
ふむ まじめ
voice:ふむ まじめ

彼女の様子がいつもと違って不安な年下カフェ店員

(お姉さん、来店)

いらっしゃいませ。
お久しぶりっす。

最近全然来てくれなかったっすね。
忙しかったんすか?

 (彼女:「そこそこ…ね」)

そうっすか…。
お仕事じゃ仕方ないっすけど……寂しかったっす。
お姉さんに会えなくて…。

 (彼女:「ほんとに?」)

ほんとっすよ。
好きな人に会えないんだし、寂しくないわけないっす。

それより、今日は残業…ってわけじゃなさそうっすね。
時間早いし、荷物持ってるから……もう帰れるんすか?

 (彼女:「そうなの」)

今日も1日お疲れ様でした。
オーダーはいつものっすか?

 (彼女:「今日は違うヤツで…」)

…違うヤツ?

 (彼女:「ダメだった?」)

いえいえ。
ダメじゃないっす。

前に『他の物に浮気しない』って言ってたから、驚いただけっす。

で、何にしますか?

 (彼女:「君のおすすめは何?」)

俺のおすすめっすか?

んー……そうだなぁ…。
どれもおすすめっすね…。

 (彼女:「じゃぁ、今1番好きな物は?」)

今1番好きな物?
なら、コレっす!
先週からの期間限定の新商品!

今1番人気なんすよ!
あまりの人気で、もしかしたら今後レギュラー販売されるかも…みたいな噂が出てるくらいで…。

 (彼女:「そんなにおいしいの?」)

マジでうまいっす!
うまい分ちょっとカロリー高めだけど、そんなのどうでもよくなるくらいには、うまいっす!

 (彼女:「じゃぁ、コレで」)

コレっすね。
900円になります。

お支払いは…電子決済っすね。

ありがとうございます。
では、受け取り口でお待ちください。

 (彼女:「今日のバイト、何時まで?」)

今日のバイトっすか?

実は、早番なんでもう()がれるんすよ。

 (彼女:「珍しいね」)

珍しいっしょ?
来週から定期試験なんで、勉強しないといけなくて…。

 (彼女:「じゃぁ、バイトもお休み?」)

そうっす。
バイトも試験明けるまで休みっす…。

だから、今日お姉さんに会えてよかった。

 (彼女:「試験っていつまでなの?」)

試験期間?
えっと……今日からちょうど2週間後っすね。

それがどうしたんすか?

 (彼女:「君に話があるの」)

話?
俺に?

じゃぁ、店の前で待っててもらっていいっすか?
(即行そっこう)、準備して行きますから。

(急いで奥に行く)

(少し間を開ける)

すいません。
お待たせしました。

ここで立ち話ってのもなんだし、歩きながら話しましょうか。

(2人、並んで歩く)

(無理に明るく振る舞う感じで)さっきのドリンク、飲みました?

おいしかったっしょ?

 (彼女:「すごくおいしくて、気に入っちゃった」)

よかったぁ…。
気に入ってもらえて。

またオーダーしてくださいね。
マジで俺のおすすめなんで。

(沈黙のまま歩き続ける)

それで……話って何すか?

もしかして、あの時の返事だったりします?

 (彼女:「なんで?」)

いや、だって……ずっと話しにくそうにしてるから、そうなのかなって…。

 (彼女:「……うん、そう…」)

やっぱ、そうだったんすね…。

回りくどい言い方しないで、はっきり言ってください。
あの日から覚悟はしてきたんで。

 (彼女:「付き合うのはまだ待ってほしいの。お互い何も知らないし、まずは友達以上恋人未満くらいの関係から始めたい…です…」)

えっ…友達以上恋人未満?

 (彼女:「…ダメ…かな…?」)

全然ダメじゃないっす!
むしろ、大歓迎っす!

 (彼女:「大歓迎なの?」)

まだフラれたわけじゃないっすから。
今後付き合えるかどうかは、俺のがんばり次第ってことっしょ?
なら、できることをやるだけっす。

(1人で納得してる感じで)あっ!…そういうこと…?

…ドリンクっす…。
いつものじゃなくて、俺のおすすめ聞いてきたのは、俺の好みを知ろうとしてくれた…とか…?

うーわっ…ヤバ…。
めちゃくちゃ嬉しいっす…。
嬉しすぎて、顔がニヤける…。

ヤダ。
みっともないから、あんまこっち見ないで。

…もう……お姉さんの(意地悪いじわる)…。

これからいっぱい俺の好み教えるんで、お姉さんの好みもいっぱい教えてくださいね。
一生覚えとくんで。