お疲れぇー！
邪魔しに来てやったぞ。
おいっ！
先輩が来てやったのに、適当に受け流そうとすんな。
（後輩の隣の席の椅子に座る）
（あくび）ふぁ…。
今日で3徹目。
もう限界。
……お前さ、がんばりすぎじゃね？
少しは休めよ。
たまには後輩を褒めたっていいだろ。
お前ががんばってるのは、ほんとのことなんだし。
ほんと、マジでお前休めって。
じゃねーと、今日の俺みたいになるぞ。
ぶっ倒れて、皆からあーだこーだ言われて…。
ウザいったら、ありゃしねー…。
あぁ…もう大丈夫。
薬が
お前にも心配かけて、悪かったな。
『心配してない』？
あぁ、そうですか。
とにかく、休めるうちに休んどけよ。
俺なんか休みたくても休めねーんだから。
はぁ！？
俺が仕事人間！？
誰がそんなこと言ってたんだよ。
んなわけねーだろ。
俺だって人間だぞ？
休みたいに決まってるだろ。
寝たいし、遊びたいし、ヤリたいし…。
でも、仕事があるからな…。
のんびり休んでられねーんだよ。
…分かったか？
『はいはい』って…お前なぁ…。
それが先輩に対する態度か？
（溜息）はぁ…。
まぁ、いいや…。
（後輩がPCのキーボードを打つ）
【キーボードを打つ音】
お前のキーボード打ってる音、好き。
なんか心地いい。
ちゃんと真面目に仕事してるんだなぁって感じで。
（あくび）ふぁ…。
…なんか眠くなってきた。
もう邪魔しねーから、ここで寝かせろ。
お前の仕事が終わったら起こせ。
いい…な…？
（寝息）
……ん？
もう残業終わったのか？
そうか…。
『帰る』？
…ダメ。帰んな。
（後輩を抱きしめる）
ジタバタすんな。
じっとしとけ。
まだ、眠い…。
もう少しこのままでいさせろ。
少しはがんばってる先輩を癒せよ。
それが後輩の役割なんだから。
うるさい。
黙れ。
急がないといけない用事でもあんのか？
ないなら、ここにいろ。
先輩命令。
セクハラじゃねーし。
先輩という立場を利用して、ただ後輩をイジメて遊んでるだけ。
（後輩の匂いを嗅ぐ）
お前、いい匂いするな。
シャンプー？
どこの使ってんの？
へぇー。
俺も同じの使おっかな。
今使ってるヤツ、そろそろなくなりそうだからだよ。
別に深い意味はねーよ。
この匂い、好き…。
あぁ、もうっ！
じっとしとけっつっただろ。
匂い嗅いでんだから。
減るもんじゃねーし、少しくらい嗅がせろ。
キャンキャン、よく吠える…。
…あんまりうるさいとその口塞ぐぞ？
ハハハ。
顔真っ赤じゃん。
なーに、想像してんだよ。
バーカ。
冗談に決まってんだろ。
ほんとにしたら、マジでセクハラじゃん。
（少し間を開ける）
…黙るなよ。
何か
何かって、何かだよ。
おもしろい話とかねーのかよ？
（舌打ち）チッ
使えねーヤツ…。
あっ……そう言えば、お前って彼氏いたっけ？
いいじゃん。
教えろよ。
お前、いつもこの手の話になったら無理矢理話
皆、気になってるんだよ。
お前に彼氏がいるのか、いないのか。
…で、いるの？いないの？
どっち？
いないんだ…。
ふぅーん。
まぁ、仕方ねーよな。
こんな女らしさの
…でも、俺は好き。
お前のこと。
クソ
あぁー、あと、ちゃんと目見て話すところ、1番好き。
普通人の目ずっと見て話せるヤツなんて、いねーからな。
すぐ
けど、お前は違う。
ずっと目見てるから、向き合ってくれてるって感じる。
嘘でも、冗談でもねーよ。
マジだよ。マジっ！
『いつから』って言われてもなぁ…。
気付いたら…、って感じだったから、よく分からん。
お前、
仲よさげに
そんな場面見て、俺がどれだけ気にしてるか知らないだろ…。
お前が他の男に取られないか、って内心ヒヤヒヤなんだからな…。
それだけ、お前のこと本気で思ってる…。
…で、返事は？
『は？』じゃねーよ。
好きだって言われて、何も言わずにスルーするつもりかよ。
『時間ください』ねぇ…。
待つわけねーだろ。
今すぐ言え、今すぐ！
そんな顔してるのに、時間くださいとか何に迷ってるんだよ。
迷う必要ねーだろ。
お前の中に答え出てんだから。
……言えよ。
ふふ。
よくできました。
よし、帰るぞ。
今から俺の家に来い。
仕事終わったんだろ？
なら、問題ない。
俺の方も終わらせてあるし。
だから心配することなんて何もない。
あぁ…休みのことか…。
休めないとは言ったが、休みがないとは言ってない。
明日は俺もお前も強制的に休みにした。
上には話を通してあるから気にすんな。
ほら、荷物持て。
おいてくぞ。
…家に着いたら、ちゃんと俺の名前呼べよ。
今からは先輩後輩じゃなくて、恋人なんだから。
いいな？