ふたたび るびぃ
voice:ふたたび るびぃ

【R15】花粉症の彼女と雨

【雨の音】 ※ 最後まで流しっぱなしでお願いします。

ん…おはよ…。
今、何時?

…もう少し寝よ。
デートの準備、もう少し後でも全然余裕じゃん。

(布団の中でもぞもぞする)

ってか、体、大丈夫?
痛かったり、つらかったりしてない?

…昨日、無理させてごめんね。
君を前にしたら(おさ)えられなくて…。
あんなに激しくするつもりなかったんだけど…。

でも、半分は君も悪いんだからね。
俺の理性ぶっ壊すようなこと何度も言うから…。

ほんとだよ。
記憶ないの?
いつもの君なら絶対言わないようなこと言うんだもん。
最初のうちは理性で(おさ)えてたのに、途中で我慢できなくなっちゃった。

まぁ…それだけ、お互い求め合ってたってことだよね。

(あくび)ふぁ…。

ん…やっぱりまだ眠い…。
こっちおいでよ。
くっついて寝よ。
1人で寝るのは寂しいし、寒いからヤダ。
ベッドから出ちゃダメ…。

(彼女を抱き寄せる)

……ねぇ、なんで俺のTシャツ着てるの?

着替え、ねぇ…。

いいじゃん、服着なくても。
デートは昼からなんだし。

朝は昨日の続きのイチャイチャしよ?

イチャイチャするのに、服いらないでしょ?
どうせ脱ぐんだから。

ほら、ばんざいして。
脱がせてあげる。

…『寒いから脱ぎたくない』?

えっと…今暖房28℃でかけてるから寒くないはずなんだけど。
服着なくても大丈夫なように、ちゃんと加湿器も暖房も昨日の夜からつけてたよ。

ほかに言い訳は?

ふふ。
俺を言い()かそうなんて100年早い。
諦めて、大人しく脱がされなさい。

(彼女がくしゃみをする)

えっ……くしゃみ?
やっぱり、寒い?
風邪のひき始めかな?

熱は?

ほんとにないの?
おでこ触るよ。

……確かに熱はなさそうだけど…。

『大丈夫』じゃないの。
こういうことは最初が(肝心かんじん)なんだから。
黙って俺の言うこと聞いてて。

(ベッドから出て彼女の着替えを探す)

えっと……着替え、着替え…。

(彼女が後ろから抱きついてくる)

こらっ!
今、君の着替え探してるんだから邪魔しないの。
抱きついてくれるのは嬉しいけど、あとにして。

……花粉症?
もうそんな時期だっけ?

そっか…。
もう飛んでるんだ、花粉。
自分が花粉症じゃないから全然気づかなかった…。

確かに毎年、今くらいの時期になると超不機嫌だもんね。
でも、今日は機嫌よさそう…?
何かあった?

『雨だから』?
えっ!?雨!?

うわぁ…めちゃくちゃ降ってるじゃん…。
一緒にいられることに浮かれてて、雨降ってるの、今の今まで気づかなかった…。
こんなんじゃ、デート行けないじゃん…。
久しぶりにデートできると思ってたのに…。

この時期の雨、ほんと嬉しそうだね。
いつもなら『雨、最悪!』とか言ってるのに。
やっぱり花粉が飛んでないと(らく)なの?

へぇー。
そうなんだ。

…今日はお家デートに変更しよっか。
雨だし、濡れるとほんとに風邪ひきかねないからね。

昼から晴れるの?
スマホ見せて。

あっ……ほんとだ…。
でも、今日はお家デート。

雨の後、外出たら今度は君がつらくなるよ?
『雨で落ちてた花粉が舞い上がってつらい…』って言ってたの覚えてるんだからね。

バレバレなの。
無理してまで出かけようとしなくていいよ。
その気持ちだけで十分。
俺は花粉症じゃないから、そのつらさは分かってあげられないけど、せめて君が(らく)でいられるようにしてあげたいんだよ。

今年はどうなの?
症状つらい?

いつも通りか…。
なら、薬飲んでるよね?

じゃぁ、薬飲むために朝ご飯食べよ。
って言っても、(たい)した物冷蔵庫の中に入ってないんだけどね…。

ある物で作ってくれるの!?
ありがと。

着替え……は、もういっか。
俺のズボン履いたところで大きすぎて履けないもんね。
Tシャツがワンピースみたいになってて、かわいいからそのままでいてよ。

ヤダ?
なんで?

『お尻が見える』?

いいじゃん。
俺以外の男に見せるわけじゃないんだから。

(彼女のおなかの虫が鳴く)

ハハハ。
思いっきりおなか鳴った。
体は正直だね。

ほら、文句言う暇があったら、さっさとご飯作って食べちゃお。
俺も手伝うからさ。

朝ご飯のあとは……分かってるよね…?