【スマホのアラーム音】
(アラームを止める)
…もう、こんな時間。
起こさなきゃ…。
(彼女の部屋に行く)
【部屋のドアをノックする音】
おはよ。
起きてる?
(溜息)……はぁ……。
開けるよ。
【部屋のドアを開ける音】
やっぱり寝てる…。
ねぇ、いつまで寝てるの?
そろそろ起きよ?
『ん゛ー』じゃないでしょ。
昨日起こしてって言ったの、君なんだから。
…そのまま寝ててもいいけど、遅刻するよ?
それでもいいの?
イヤなら、起きて。
(小声で)ったく…。
今までの成果を出すための大切な日だってのに、いつもと変わらない…。
全然緊張してないのかな…?
ん?
何も言ってないよ。
起きれてえらいね。
ほら、顔洗っておいで。
その間に朝ご飯の準備しとくから。
ダーメ。
今日みたいな大切な日に朝ご飯抜くとかあり得ない。
絶対食べていかなきゃダメ。
ね?
じゃぁ、リビングで待ってるから、準備できたらおいで。
(少し間を開ける)
(彼女が準備を終えて、リビングに来る)
やっと来たね。
はい、朝ご飯。
朝からカツっていうのもどうかなって思ったんだけど、大切な日だから…。
ちょっとでもゲン
どうぞ召し上がれ。
揚げ物って重くなりやすいから、
おいしい?
よかった…。
見た感じ、あんまり緊張してないっぽいけど、大丈夫?
忘れ物とかしてない?
ほんとに?
財布ある?
スマホは?
あと、今日必要な物とか…。
ほら、やっぱり忘れ物あったじゃん。
取っておいで。
『あとで』って言ってて忘れたら元も子もないから、ご飯の途中で
は・や・くっ!
(彼女、部屋に忘れ物を取りに行く)
(小声で)…緊張してないように見せてるだけで、やっぱり緊張してるんだな…。
(彼女、忘れ物を持ってリビングに戻ってくる)
それが忘れ物?
ちゃんと
もう忘れ物はない?
ほんとに、もう大丈夫?
それなら、いいけど…。
って、ヤバイっ!
のんびりしすぎ!
時間
早くご飯食べて。
ほんとに遅刻することになっちゃう。
あーぁ…口元にソース付いてる。
…はい、取れた。
食器はそのままでいいよ。
今日だけは許してあげる。
さっさと歯磨いて、服着替えておいで。
のんびりする時間はないよ。
(彼女が準備を整えにリビングを離れる)
(少し間を開ける)
準備できた?
あっ、服が乱れてる。
ちょっとじっとして。
直してあげる。
はい、これで完璧。
あとは、これも一緒に持って行って。
一緒について行ってあげたいのは山々なんだけど、そういうわけにもいかないから…。
ジャケットのポケットに入れとくね。
君に内緒でお参りしてきたんだ。
うまくいきますようにってお願いしておいたから。
絶対大丈夫だよ。
ふふ。
出かける直前になって、不安そうな顔しないの。
そんなんじゃ、うまくいくものもうまくいかなくなっちゃうよ?
…ほんとに、もう。
仕方ないから、とびっきり効くおまじないしてあげるね。
(彼女を抱きしめる)
(抱きしめたまま耳元で)大丈夫。
不安になる必要なんてないよ。
毎日夜遅くまでがんばってたじゃん。
今までのがんばりは無駄じゃない。
努力は必ず
1番近くで君を見てた俺が言うんだから。
(彼女から体を離す)
ね?
自分を信じて。
いつもの元気出てきたね。
いい笑顔。
今日もとってもかわいいよ。
ほら、そろそろ行かないと…。
俺はここで君が帰ってくるの、待ってるから。
気を付けて、いってらっしゃい。
【玄関扉の開閉音】
(以下全文、独り言っぽく)
絶対大丈夫だよ。
なんてったって、俺の彼女だもん。
どんなにつらいことでも、やり
…がんばれ。