小鳥遊きの
voice:小鳥遊きの

【童話アレンジ】眠れる森の美女

ここが城か…。
街の人に聞いた通り、すごいいばらだ…。

(茨に触る)

いたっ!
とげするどい…。
中に入るまで、かなり苦労しそうだ…。

【茨を切る】

くそっ!
切っても、切ってもいばらだらけ…。
終わりが見えてこない…。
本当にこの先に王女が眠っているのか…。

(間を開ける)

あっ!
やっとひらけた場所に出た!

王女がいるというのは一番高い塔の最上階だから……あの塔か。
まだまだ先が長そうだ…。

【茨を切る】

王女が眠る場所なだけあって、いばらの量もけたちがいに多いな…。
前に進むだけで精一杯だ…。

でも、この先に王女が眠ってる。
王女を目覚めさせてくれる王子を待ってるんだ。
その役目は俺なんだから。

絶対に迎えに行きます、王女。

(王女の眠る部屋の前に到着)

やっと、着いた。
最上階…。

【古びたドアが開く音】

やっと会えた。

(うっとりした感じで)
あぁ…。
なんて綺麗きれいなんだ。
肖像画しょうぞうがで見るよりずっと綺麗きれいだ。

今、起こして差し上げます。

(リップ音)チュ

あっ!目が覚めましたか?

ちょっと!
あばれないでください。
落ち着いてください。
目覚めた時知らない男が近くにいて、悲鳴を上げるのも当然ですが、今は少し落ち着いてください。

私は貴方に危害きがいを加えるつもりはありませんから。
お願いです。

(少し間を開ける)

少しは落ち着きましたか?
驚かせてしまい、申し訳ありません。

申し遅れました。
私は貴方を眠りから救うためにやってきた隣国りんごくの王子です。

いきなりなのですが、私と結婚してください。

なんで拒否するんですか!
貴方にはメリットしかないはずです。

長年この国には王がおらず、国は衰退しています。
経済的にも、国防的こくぼうてきにも、危機的状況にあります。
しかし、私と一緒になって、隣国りんごくと統合すると、全ての問題が解決するのです。
これが国民にとっても、貴方にとっても幸せな道のはず。
貴方は国民を犠牲ぎせいにするのですか?

(以下、ヤンデレな感じに)
『私は恋愛結婚がしたいの!』って…。

(舌打ち)チッ
うるさいな…。

こっち向け。
これを飲め。
いいから大人しく飲め!

(王女、嫌がって飲まない)

くそ!
こうなったら飲ませてやる。

(王女に口移しで液体を飲ませる)

飲んだな?
ふふ、これはれ薬。
しかも即効性そっこうせいがあって、かなり強力な代物しろものだ。

これを手にいれるのに、俺がどれだけ苦労したと…………早速さっそくが出てきたな。

(咳払い)ゴホン

あらためて、プロポーズします。
王女様、私と結婚してください。

あぁ~、やっと手に入った。
俺だけの眠り姫。
もう離してやらない。
逃がしてもやらない。
死ぬまで俺のものだ。

それでは早速国に戻り、式の準備をしましょう。
誰よりも幸せになりましょうね。