ふたたび るびぃ
voice:ふたたび るびぃ
はるたかの小屋
voice:はるたかの小屋

男のジャケットを肩にかけた先輩に嫉妬する年下彼氏

お待たせ、先輩。

…って、あれ?
寝てる…?
珍しい。

…え?
これ…誰のジャケット?

かわいい顔で寝てるから起こしたくないけど仕方ないか…。

ねぇ、先輩。
起きて。

おはよ。
用事、終わったよ。

迎えにきたんだけどさ…それ、誰の?

『どれ?』じゃないよ。
肩にかかってるジャケット、誰の?

同じゼミの人の?

…その人と2人きりでいたの?
なんで?

『ノート借りてた』?
それって、この間インフルエンザで休んでた間の授業のやつ?
…ふぅーん。

先輩のことだから、書き写させてもらったんでしょ?
『コピー代がもったいない』とか言ってさ…。
図星でしょ?

でも、今日みたいな時は、書き写さなくてコピーしようよ。
()()がりなんだから、少しは(らく)したっていいんだよ?

ちなみに、なんだけど……その人にジャケット掛けられた以外で何かされたりしてないよね?

されてないなら、いいんだけど……やっぱ、無理。
ごめんね。
ジャケット、取っていい?
先輩に知らない男の匂いがつくの、ヤダ。

代わりに……こっち着てて。
俺のパーカー。

あったかいでしょ。
お気に入りなんだ。
裏起毛でこの時期すっごく(重宝ちょうほう)してるの。

俺のことはいいから、先輩が着てて。
女の子が体冷やすのはよくないよ。
ね?お願い。

どうしても気になるの?
じゃぁ……ギュってしていい?

(先輩を抱きしめる)

ふふ。
あったかい。

んー、先輩の匂いだ。
シャンプーかな?
ボディークリームかな?
俺、先輩の匂い、好き。

『やっぱり返す』とか言わないでよ。
もう匂い()がないから、着たままでいて。
先輩に俺の匂いつけてるところなんだもん。

だって、先輩の匂いに混じってジャケットについてた匂いがする…。
俺の匂いで上書きしないと。
なんか、先輩を他の男に横取りされたみたいでヤダ。

もう…笑わないでよ。
俺、すっごく(真面目まじめ)な話してるんだからね。

『そんなことない』って先輩はいつも笑うけど、どうしても不安なんだよ。

先輩、綺麗だから、いつか他の男に取られるんじゃないかって…。
子供っぽい俺よりも、ずっと大人な男の方に心が動いちゃうんじゃないかって…。
正直、()()じゃない…。

ねぇ…先輩…。
俺のこと、好きでいてくれてる?

(先輩にほっぺをつねられる)

痛いっ!
痛いってば!
ほっぺ、つねらないで!

もぅ…。
いきなり、何?

『先輩のことどう思ってるか』って…?
そんなの好きに決まってるじゃん。
死ぬほど好き。
大好き。
ずっとそばにいたいくらい大好き。

……ほんとに?
先輩も同じ気持ちなの?
…嬉しい。

じゃぁ、今キスしてもいい?
だって、したいんだもん。

先輩、今『俺と同じ気持ち』って言ってくれたじゃん。

ね?
いいでしょ?
今なら誰もいないよ。

大丈夫。
俺を信じて…。

(濃厚なリップ音)

ふふ。
キスの後の先輩の顔、めちゃくちゃ好き。
『もっと』って(強請ねだ)ってるみたいで、エロいんだもん。

ここじゃ、これ以上のことしたら怒られちゃうから、早く俺の家行こ。

あっ!
帰る前にこのジャケット返さないとね。
でも、その前に…。

(先輩の首筋にキスマークを付ける)

”先輩は俺の”って印が付いた。
服で隠れて見えないところだから、大丈夫だよ。

(小声で)…かなり(きわ)どいところだけどね。

ん?
何でもないよ。
ただの(ひと)(ごと)

先輩は俺のだもん。
誰にも渡さない。

大好きだよ。