ただいま戻りましたぁ…。
(溜息)ふぅ…。
……疲れたぁ…。
あっ、先輩お疲れ様です。
今戻ってきたところです。
久しぶりに
甘い物でも買ってこようかな…。
差し入れ?
俺に?
あっ、これ、俺がずっと気になってたヤツ…。
覚えててくれたんですか?
うわぁ…嬉しいですっ!
さっきまでの疲れが一気に吹き飛んだ感じ。
えへへ。
ほんとに、ありがとうございます。
じゃぁ、
(差し入れを食べる)
うまっ!!
先輩も食べてみます?
ん?
どうしたんですか?
Yシャツの
あっ…ボタン取れかかってる…。
帰ったら付け直しますよ。
今、針も糸もないんで…。
えっ…直してくれるんですか?
でも、先輩の仕事は…?
ほんとに大丈夫ですか?
…じゃぁ、お願いします。
ここじゃ
(先輩と2人で会議室に移動する)
会社で2人きりになれるなんて信じられない。
すっごくドキドキする。
冗談だと思ってる?
手、貸して。
ほら…ね…?
ドキドキしてるでしょ?
ふふ。
かわいい。
顔、真っ赤だよ。
……もしかして、俺と同じ気持ちだったりして…?
『違う!』って
ほんとに、違うの?
ふふ。
俺の彼女は素直じゃないんだから。
でも、そんなところがかわいくて大好きなんだけどね。
…キスしたいなぁ…。
あっ…今の忘れて…。
思ってたこと、口に出してた…。
恥ずかしい…。
大丈夫だよ。
ほんとにキスしたりしないから。
ちゃんと我慢する。
君に嫌われたくないもん。
うん。
嫌われたくない。
えぇー。
『だったら付け直させて』って…。
もうボタン付けちゃうの?
付けちゃったら、すぐ戻らなきゃいけなくなるじゃん。
もうちょっと2人きりでいようよ…。
ね?
ヤダっ!ヤダっ!
ワガママ言ってごめんなさい。
自分じゃボタン付けられないから、付けてください。
お願いします。
……付けてくれる?
よかったぁ…。
Yシャツ脱いだ方がいい?
着たままで大丈夫?
ほんと?
分かった。
さっきワガママ言った仕返しに手首刺したりしないでね。
だって、今日の君、なんだか意地悪なんだもん…。
えっ?
もう終わったの?
さっきまで話してたはずなのに、完璧に直ってる…。
あっという間すぎて見逃した…。
おぉー。
すごいっ!
買った時よりも綺麗に付いてる。
ありがとね。
お礼、何がいい?
『いらない』じゃないよ。
さっきはボタン付け直せるみたいなこと言ったけど、実際はこういうの苦手なんだよね…。
君みたいに早くボタン付けられないし、何度も針で指刺しちゃって、Yシャツ血だらけにしちゃうもん…。
それを君はパパッと付けてくれて、ほんとに感謝してるの。
だから、何でもいいよ。
遠慮なく言って。
ないの!?
んー、俺としては何かお礼したいんだけど…。
…そうだ。
口元に手のひら当てていい?
そのままジッとしててね。
(手のひら越しに軽いリップ音)
…ごちそうさま。
あまりにかわいい反応する君がかわいくて…。
会社なのに、キスしてごめんなさい…。
……手のひら越しなのに、そんな顔真っ赤にしないでよ。
もっといろいろしたくなっちゃうでしょ。
ねぇ、今夜君の家に行っていい?
今日は残業しないで定時で上がるから。
こんなお礼じゃなくて、ちゃんとお礼したい。
…今の続きをね。
だから、夜、楽しみにしてて。