(教室にて)
(出入り口の扉を開けた瞬間、誰かとぶつかる)
痛っ!
ごめんなさいっ!
ちゃんと前見てなくて…。
って、君か…。
どうしたの?
教室に忘れ物でもした?
そっか。
私は、いろいろあって、やっと帰れるとこ。
今日、日直だったじゃん。
先生から雑用頼まれちゃって…。
あとは、日誌を先生に渡したら、終わりなんだけどさ…。
職員室行きたくなくて、グダグダしてたの…。
あそこ、独特の空気あるじゃん。
あれ、イヤなんだよね…。
…なんかあった?
いつもよりちょっと元気ない感じするから…。
他の人は分かんないかもだけど、私には分かるよ。
なんてったって、
悩み事?
私でよかったら話してよ。
(話したがらない幼馴染)
話したくないなら、強制はしない。
…けど……大丈夫…?
君って、溜め込むだけ溜め込んで、ある日突然爆発しちゃうでしょ?
話すだけでも、多少は違うと思うよ。
イヤかもしれないけど、話してみない?
誰にも話さないって約束するから。
…ね?
(相槌数回打つ)
(吹き出して笑う感じで)ぷっ…んふふ…。
ごめん。ごめん。
笑うつもりなかったんだけど、つい…。
だって、すっごい真剣な顔で『今年もチョコ貰えなかった…』って言われたら……ねぇ…。
毎年恒例になってるじゃん。
チョコ貰えないのなんて。
今年もその記録が無事更新されたってだけでしょ?
あーぁ。
心配して損した。
落ち込んだ顔してるから、なんかヤバいことに巻き込まれたのかと思ってたのに…。
まぁ、まぁ。
そう
かわいい
手出して、ちょっと待ってて。
(カバンの中からチョコを持ってくる)
…はい、チョコ。
これでチョコ0個じゃなくなったね。
ちょっ…。
なんで
私から貰うチョコはダメなの?
いいじゃん。
チョコはチョコ。
誰から貰おうと1個にカウントされるでしょ。
文句言うなら返して。
自分で食べるから。
…ったく…。
毎年文句だけは人一倍言うよね。
素直に受け取ればいいものを…。
ん?
もちろん、手作りだよ。
いつも通りね。
…『大きさ』?
まぁ…
たまにお世話になってるし、ちょっとしたお礼も
…もしかして、甘いの苦手だったりする?
私が今まで気づかなかっただけってこともあるし…。
じゃないと、チョコの大きさ、気にするとかおかしいもん。
(溜息)はぁ…。
びっくりさせないでよ…もう…。
急に
あっ!
そうだ!
この後予定ある?
なら、一緒に帰ろうよ。
寄り道したいとこあるから、付き合って。
『ヤダ』とか言わないでよ。
1人で行きにくいの。
ね?
お願い!
付き合って?
やった!
じゃぁ、さっさと先生のとこに日誌出して来るから、ここで待ってて。
ん。
すぐ戻るね。
(幼馴染と別れる)
(ボソッと独り言っぽく)いい加減、気づけ…バカ…。