【玄関ドアの開閉音】
ただいまー
あれ?
いない?
今日休みって言ってたし、どこか遊びに行ってるのかな?
(玄関からリビングに移動)
(ソファーに座る)
やっと週末…。
今週も忙しかったなぁ。
【玄関ドアの開閉音】
おかえりー
お出かけしてたの?
楽しかった?
よかったね。
ねぇ。こっち来て。
俺、ここのところずっと忙しくて、仕事いっぱいがんばって、疲れたの。
だから、ご褒美ちょうだい?
君をギューしたいの。
早く俺の膝に座って。
(満足そうに)
ふふ、やっと来た。
(妻を抱きしめる)ギュー
ん?
香水変えた?
いつもと違う匂いするけど…。
俺の勘違い?
そうかな?
(妻の匂いを嗅ぐ)
やっぱり違うよ。
この匂い……男物の香水…。
俺が持ってるやつじゃないし、どういうこと?
(妻、逃げようとする)
逃がさないよ。
ちゃんと説明して。
こら!
暴れるな!
暴れても無駄だよ。
君の力で俺に勝てるとでも思ってるの?
お願い。
ちゃんと説明して。
怒らないから。
(妻、説明する)
へぇ…。
会社の新人くんが相手なんだ…。
俺がずっとエッチの相手してなかったから、相手してもらってたの?
君に寂しい思いさせてた俺が悪いよね…。
…なんて言うとでも思った?
どっちから誘ったの?
まさか、君じゃないよね?
『飲みに誘われて、潰れちゃって、そのまま関係を持っちゃった』、と…。
お酒弱いの分かってて、何で男と飲みに行くかなぁ?
『そんなことする子じゃないと思った』?
甘いよ、君。
男なんて下心ないと、女の子は誘わないんだよ。
のんびり屋で優しいところが君らしくて俺も好きなんだけど、もう少し危機感持った方がいいと思うよ。
だから、彼に会うことは今後一切許さない。
君は僕のものなんだから。
今までは理解してくれてると思って自由にさせてあげてたけど、いまひとつ、ちゃんと理解できてなかったみたいだね。
もう一度、ちゃんと教育し直さないと。
ほら、ちゃんと俺を見て。
(長いリップ音)
こら!
顔を背けちゃダメでしょ。
『息ができない』って…。
だって、あえてそうなるようにチューしてるんだもん。
…ふふ。
君は苦しいくらい攻められるの好きだもんね。
ずっとエッチしてなかったから忘れたと思った?
残念。
忘れるわけないでしょ。
息ができないくらいのチュー、気持ちいいでしょ?
ほら、舌出して。
いっぱい俺のと絡めてチューしよ?
できるよね?
ん、いい子。
(舌を絡めた長めのリップ音)
あ~ぁ…目を蕩けさせちゃって…。
まだチューしかしてないよ?
そうやって彼を誘ったんだね。
悪い子には、お仕置きをしないと。
服を脱いで。
ほら、早く!
(妻、服を脱ぐ)
服脱いだら、もっと匂い強くなった…。
まるで、『君は自分のもの』って言ってるみたい…。
あのさ、まさかとは思うけど、自分で彼の香水付けたわけじゃないよね?
そうだよね。
君がそんなことするはずないもんね。
(妻の匂いを嗅ぐ)
……見つけた。
ここが匂いの発信源だ。
ブラだよ。
ブラに香水付けられてる。
…このブラは捨てちゃおう。
知らない男の香水が付いてるブラなんて、いらないよね?
ホック外すから背中、向けて。
(妻、背中を向ける)
(舌打ち)チッ
匂いだけだったら許してあげようと思ったけど、さすがにこれは許してあげられないな…。
『何?』って、ここにキスマーク付けられてるよ。
わざわざ背中に付けてるあたり、すごく嫌味だね。
きっと君は気付いてなかったんじゃない?
自分の印をこんな場所に付けるなんて。
本当に嫌味な奴。
(キスマークの場所を噛む)
不味い…。
君の体が不味く感じる。
前は美味しかったのに…。
消毒も兼ねて、俺の印、いっぱい付けてあげる。
そうすれば、きっと君の体も美味しくなるはずだから。
(キスマークをたくさん付ける)
うん、いっぱい付いたね。
まるで赤い花びらで装飾されたみたいで、綺麗だよ。
ねぇ。
今から君に質問をするけど、ちゃんと答えてね。
君の口からちゃんと聞きたいから。
君は誰のもの?
君が愛してるのは誰?
約束だよ?
もし、彼に会ってるって分かったら、会社は辞めてもらって、足枷付けて、この家から出られないようにしてあげる。
そんなことになりたくなかったら、もう彼とは会っちゃダメだよ?
『会社の新人だから、会わないようにするのは無理』?
部署が違うんだから、会わないようにするのはできるはずだよ。
できるよね?
ん、いい子だね。
(リップ音)
いい子にはギューしてあげる。
(妻を抱きしめる)
君を誰にも渡さない。
君は俺の、……俺だけのものなんだから。