零のボイス
voice:零のボイス

たまにはゲリラ豪雨もいいかも…?

(アラームの音)

もう時間か…。
家まで送ってく。

(身支度しながら)いいって。
俺のワガママでギリギリまで引き留めたんだし…。
それに、送っていけば、もう少しだけ一緒にいられるでしょ?
ね?

(彼、身支度完成)

よし、準備できた。

忘れ物ない?
大丈夫?
じゃぁ、行きますか。

(鍵を解錠して、玄関扉を開ける)

(どしゃ降りの雨)

(無言のまま玄関扉を閉める)

……なんか、すっごい降ってんだけど…見た?
普通にゲリラ豪雨だよね?

今日雨降るなんて、天気予報でこれっぽっちも言ってなかったのになぁ…。
ゲリラ豪雨だから仕方ないとはいえ、これじゃ、ほんの少し出歩いただけでもずぶ濡れになりそう…。

……あのさ……せっかくだし……泊まっていきなよ。

(言い訳っぽく)深い意味とかはなくて、この雨の中、車に乗るだけでもそこそこ濡れると思う。
下手したら、風邪ひく可能性もある。
だったら、一晩泊まって明日の朝ちょっと早く起きて帰るのが一番よくない?
着替えだってあるし…。

……っていうのは建前で……本音はもっと君と一緒にいたいだけ…。

ね?
泊まってって。
朝まで一緒にいよ?

全っっっ然、迷惑なんかじゃないよ。
むしろ、大歓迎!

ほんとに?
いいの?

やったー!

(彼、彼女にキスしようとする)

(彼女、彼からのキスを手で防ぐ)

(彼女に口元を押さえられて)ちょっと。
口元押さえてる手、どかしてよ。

(彼女、手をどかす)

今の流れ、どう考えてもキスしていい流れだったじゃん。
なのに、なんで手で邪魔するの?

『キスしたらエッチぃことするから』…?

それは、仕方なくない?
好きな子とのキスは気持ち的に盛り上がって、それ以上のこともやりたくなっちゃうんだもん…。

分かった。
分かりました。
エッチぃことはしません。

はい。
誓います。

その代わり、ハグくらいは許してよ?
君を抱きしめて寝ると寝つきいいし、次の日起きた時スッキリ起きられるんだよね。

ほんとだって!
自分でもびっくりしちゃう。
普段は二度寝・三度寝は当たり前。
アラームの最後のスヌーズまで起きられないのに、君を抱きしめて寝るだけでちゃんと起きられる。
こんなこと、君を抱きしめて寝るまで一度もなかったのに…。

だから、君がいる時は抱きしめて寝たいの!
明日早いし、お願いっ!

ふふ。
ありがと。

(外に向かって)神様もありがとうございます。

ん?
だって、この雨は神様からのお()げ。
『最近会えてなかったし、これだけ降らせれば君が帰るのを諦めて泊まってくから、もう少し一緒にいなさい』っていう、ね。
実際、君は泊まってってくれることになったし、まさに神様の思い通り。

(しみじみと)今まで「ゲリラ豪雨なんてマジあり得ない!」って思ってたけど、今日ほどありがたみを感じたことはないなぁ…。

ほんと、(いき)なことするよね。
神様も。
さすがって感じ。
そう思わない?

…思わないか…。
まぁ、いいよ。
俺が勝手に喜んでるだけだから。

ってことで、さっそく!

(彼、彼女をハグする)

夜は始まったばっかだよ?
エッチくないことでいっぱいイチャイチャしようね。