(チリーンみたいな鈴の音)
(警戒心出して)今回は君か…。
いらっしゃい。
死後の世界へ。
とりあえず、こっちに座って。
そ。
その魔法陣の中。
ちょっと眩しくなるから、目瞑ったままジッとしてて。
はい。
終わり。
出ていいよ。
この魔法陣で君が悪い人かどうか調べさせてもらった。
黙ってこんなことして、ごめんって…。
一応形式上やらなきゃいけないことだからさ…。
えっと……まずは、自己紹介から。
僕はこの死後の世界の神様。
生きてた頃の君の魂を査定して、いつ、どこに生まれ変わらせるか決めるのが仕事。
で、ここに送られてきたってことは、君はもう死んでる状態。
死後の世界って言ってるから、もう分かってると思うけど…。
『三途の川』?
あの川を渡るのは、魂の査定が終わって、元いた世界で生まれ変わる人たちだけ。
君は渡らせない。
絶対に。
……普通にがんばりすぎだったって自覚ある?
さっきの魔法陣で君の魂も一緒に見たんだけど、寝る間も惜しんでがんばってたみたいじゃん。
そこまでする必要ないのに…。
『見ないで!』って言われても、魂の査定は君が生まれてから死ぬ瞬間まで、赤裸々に見ないといけないんだもん。
ってか、今更見られて恥ずかしいようなもんでもないでしょ。
死んでるんだし…。
(ちょっとイラついて)こっちも仕事なんだから、つべこべ言わないで。
(苛立ちを抑えるような深呼吸1回)
(冷静に話を戻す感じで)誰かに相談できるような状況じゃなかったとはいえ、何でもかんでも一人で抱え込みすぎるのは、君の悪いとこ。
だから、これから生まれ変わる世界ではそんなことしなくてもいいように、イージーモードな生活を送らせてあげる。
神の加護ってヤツで。
遠慮しないでよ。
生きてた頃がんばったご褒美だと思って受け取って。
それに、使えるものはとことん使わないと損するよ?
(あざとい感じで)……もしかして、僕のこと信用してないから、遠慮してるとか…?
違うなら、僕の加護、受け取ってくれる?
ほんとに?
(元に戻って)言質取ったからね。
とりあえず、幸福の加護は必須でしょ?
あとは……何がいい?
君のリクエスト、聞いてあげる。
(相槌数回)
OK!
ってか、そんなのでいいの?
もっとワガママ言ってもいいんだよ?
謙虚すぎるのも、時には相手にとって失礼に当たるってことは覚えといて。
今はいいけど…。
(加護をつける)
ん。
加護ついたよ。
さて、時間かな。
不安な顔しないで。
大丈夫。
どんな高い壁でも乗り越えられるよ。
それだけの力が君にはあるんだもん。
それに、君には僕という神がついてる。
(彼女をハグする)
どうしようもなくなったら、教会で祈って。
『助けて』って。
そしたら、いつでも、どこでもすぐに会いに行くから。
(彼女から体を離す)
……君の人生が幸せで溢れますように。