ん…おはよ…。
今何時?
そ。
…で、君は何してるの?
俺を1人ベッドに残したままで。
『家に帰る』…?
なんで?
帰る必要なくない?
ここから会社に行けばいいじゃん。
近いんだし。
服とか…そんなの別に気にする必要ないよ。
誰も見てないんだし…。
じゃぁ聞くけど、君の部署の課長、昨日と一昨日同じネクタイだったの気付いた?
秘書課の新人の子の服も。
…知らなかった?
あの2人が不倫してること…。
2人はうまく隠せてると思ってるようだけど、周りでは噂になりつつあるよ。
そのうち君の耳にも入るんじゃない?
でも、分かったでしょ?
見てるようで、誰も見てないんだよ。
皆自分のことで精一杯なんだもん。
他人のことなんて、意識しなきゃ見ないって…。
(溜息)はぁ…。
ほんと頑固…。
帰んなくていいって言ってんのに。
そんなに服を替えたいの?
どうしても?
だったら、そこのクローゼット、開けてみて。
服とか必要な物は全部揃えてるから。
たぶん、サイズ合ってると思う。
(ドヤァな感じで)ふふん。
どう?
素直に『すごい!』って言っていいよ?
別にサイズなんて直接聞かなくても、ギューってすればだいたい分かるよ。
多少のズレはあっても誤差範囲内だし。
というわけで、帰る理由なくなったよね。
ってことで、君がいる場所はここ。
(彼女をベッドに引きずり込む)
(彼女の匂いを嗅ぐ)
ん……君の匂いだ…。
落ち着く…。
…服、邪魔だから脱がすね?
で、このままもう1回シよ?
『ヤダ』って言うわりに、期待してる顔してるけど?
ほんとはシたいんでしょ?
素直な子が俺は好きだなぁ。
ふぅーん。
嘘ばっか
(濃厚なリップ音)
別に素直じゃない子が嫌いとは一言も言ってないよ。
どっちかって言うと、素直じゃない子を素直にさせる方がもっと好き。
だって、嘘
『絶対にイヤだー!』って。
それを本人の知らない間に俺の手のひらの上で転がして、気付いたら俺色に染まってるとか最高すぎない?
ふふ。
なんとでも言えばいいよ。
でも、今ボロカスに言ったやつのことが好きなんだよね?
じゃないと、大人しく俺の腕の中に
ね?
ふふ。
そんな
(濃厚なリップ音)
このまま今日休んじゃおっか?
仕事する気分じゃなくなった。
1日中ずっとイチャイチャしてたい。
えぇ…。
絶対やんなきゃダメ?
ちょっとでも?
……じゃぁ、せめて半休にしよ?
午後からはちゃんと仕事するから。
うん。
約束する。
会社には
「お腹痛くてトイレから出らんなかったんで…」とかね。
でも、それだとなんかヤダな…。
やっぱここはド定番な「おばぁちゃんを助けてて…」とか?
それだと、さすがに嘘ってバレるか…。
まぁ、いっか。
その辺のめんどくさいことは後で考えよ。
今は俺と愛し合うことに集中して。
ちょっとでも別のこと考えたら、午後も休みにしたくなるほど抱き潰すからね?
(濃厚なリップ音)※キスしたままフェードアウトしてください。